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コダマの核心

2010年は激変してこそ残る(10)~北田光男氏の祟りがベスト電器を危うくした(6)
コダマの核心
2010年1月22日 09:57

<永続革命の担い手が勝つ>

 結局のところ家電小売りの激突戦争はオーナーの事業欲の強さの度合いで決着がつく。北田光男氏のベスト電器は昭和57年に小売り日本一になった。その後、余勢に乗じてトップをキープできた要因は、同業他社よりも店舗面積・拠点を数多く持っていたからである。だが、光男氏も業界ナンバーワンになったことで目標を失い、年齢を経るに従って経営変革を怠った(永続革命の放棄)。結果、光男氏が倒れれば組織の寿命が終わる構図になってしまった。組織が組織として継承できるレベルにまで達せなかったのだ。
 ただ北田氏の功績は大である。業界のお手本になったのだ。「よしゃー、ベスト電器を追い抜け!!」と奮い立ったオーナー経営者が全国津々浦々に出現した。まさに「我こそ日本一になる」と宣言して戦国時代に突入した。追う者は先発のベスト電器を追走する。ただ漠然と店舗を開店していけば天下を獲れるものではない。それぞれが試行錯誤するなかで、「やはりどれだけ安い価格で提供するかが帰趨を制する」という結論に達する。「じゃー、短期間で全国店舗のネットワークを構築しよう」と行動に移す。
 店舗開設の衝突は戦国時代の城造り・陣取り合戦そのものである。有名なのはヤマダ電機・コジマなどの栃木・群馬地区で展開された「上州戦争」だ。昭和60年代に本格化した陣取合戦が九州に進攻してきたときには、北田光男氏=ベスト電器は隆盛を過ぎた時期であった。北田氏は全国の覇者となり、現状満足に浸り、守りに終始していく。ヤマダ電機を含めた後発のオーナーたちは、エネルギッシュに攻めまくる。織田信長ばりの「永続革命」の旗印を立てて進軍すれば、ベスト軍が敗退するのは明白だ。

<「覇者」を永続できない>

 北田光男ベスト軍は、家電小売り戦争に敗北した。企業組織が、光男氏個人の域を脱することができずに、永続革命へ駒を進め切れなかったことが敗北の原因である。それならば今、業界の覇者たらんとしている企業軍が常勝を永続できるかというと保証はできない。ベスト電器を飲み干そうとしているビックカメラでさえも、オーナーの新井氏が不可思議な画策をやっている。全国トップを極めるには、私欲を捨てなければなるまい。
 ヨドバシカメラにおいても、傑出しているオーナー藤沢氏の経営能力が断トツであることはいうまでもない。だが、次の後継者である実子との間には確執が表面化していると聞く。藤沢氏の側近であった方の証言によると「藤沢氏の経営能力水準が天才だから、次は誰がやっても無理だろう」となる(『藤沢オーナーが現役の間でしか企業繁栄の持続は無理だ』という意味)。ヤマダ電機においても同様の指摘がある。
 言うなれば、北田光男氏と同じ境遇にあるということだ。オーナートップが事業野心に燃えて不断の革命に挑戦しているときは、企業組織も革新されていく。トップが耄碌すれば組織も萎えていくという法則に呪縛されているのだ。となると、家電小売り戦争の最終勝利者は、創業者トップが交代しても永続革命を持続できる組織を確立できる者となる。

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