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明治屋産業VS海星ムサシ 生き残りをかけた激突はあるか?(4)
特別取材
2010年3月16日 08:00

~因縁浅からぬ間柄の両社~

<中堅社員の危機感で 一皮向けた明治屋産業>

 海星ムサシ発足の際、明治屋産業との力関係が逆転する可能性が指摘された。明治屋産業は、逝去した会長を含めれば経営のトップ3を短期間で失ったことになる。しかも、海星ムサシに移った経営幹部は軒並みやり手と評されていた。何より、取引先とのパイプを持っていることが強みであった。内紛が決着した直後の02年に、明治屋産業は表示偽装問題を引き起こした。関東の百貨店で販売していた食肉が松坂牛でないにもかかわらず、松坂牛と偽って販売していたのだ。

 取引先に損失がおよぶ可能性のある不祥事だっただけに、「経営危機におよぶのでは」という悲観論まで流れる事態となった。このとき、即座に業務改善室(現・業務管理指導室)を立ち上げた。この不祥事は売り場責任者が独断で行なったものだったが、これを防ぐために内部統制に力を注ぐようになった。現在でもその費用は年間2億円におよぶ。また、社風がトップダウンからボトムアップに変わった。危機感を持った中堅社員が、積極的に経営に参画できるようになった。結果が問われることになるが、現場経験の乏しさを自覚した佐藤代表が積極的に組織改革に努め、「現場に権限を持たせる社風を作った」。
明治屋産業、海星ムサシの役員
 ピーク時より売上高を落としたものの、近年は300億円台を維持。財務体質も海星ムサシに劣るが、かつて125億円にまでおよんでいた有利子負債は、本社ビルの売却などにより09年3月期段階で51億8,000万円まで削減し、今後も減らしていく計画である。こうした体質改善の背景には、社内にとどまった中堅社員の踏ん張りが重要な役割を果たした。

<海星ムサシの役員構成は 過去の経験を反面教師に>

 海星ムサシの社長は、明治屋産業元取締役の内藤正氏。明治屋産業の元副社長で設立時に社長を務めた住吉勝伊氏は、早々に相談役に退いている。「住吉氏が実質オーナー」という見方が根強いが、同社の株式は両氏と中島専務らが均等に保有し、誰も過半数を有していないとされる。また、後継について同社は、「全くの未定」と同族化を否定。当面、社内からの抜擢を打ち出している。ヘッドハンティングやM&Aなど広く検討することも考えられるが、体質としてかつての苦い経験を反面教師として同族経営に否定的だ。ただし、各人の保有株式数は明らかにされていない。財務体質を強固にすることに力を注いできたが、同族経営ながら業務管理室を構える明治屋産業の方が透明度で勝る。

 海星ムサシの取締役には、谷尾凱夫氏が名を連ねる。谷尾氏は明治屋産業を退社後、住吉氏らと行動をともにせず、食品スーパーの経営に乗り出した。旧とみやま(本社:北九州市門司区)を買収し、ニューヨーク・エボリューション(株)の法人名で店舗展開を行なっている。海星ムサシは鮮魚部門が同社に入店している。両社の関係が密接さを示している。

(つづく)

【鹿島 譲二】


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