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武雄から世界へ、ベンチャー市長の挑戦(1)~お結び課/60歳定年への疑問
行政
2010年6月14日 16:12

樋渡啓祐武雄市長 人口5万2千人の佐賀県武雄市。2006年、東大卒の総務省官僚という華々しい職を捨て郷里へ戻ってきた樋渡 啓祐(ひわたし けいすけ)氏(40)が市長に就任した。樋渡市長は、従来の武雄行政になかった斬新なアイデアを次々に市政へ取り入れはじめた。今、地方自治体の首長の枠を超えた「ベンチャー市長」として、注目を集めている樋渡市長を取材した。

<お結び課・60歳定年への疑問>

 2010年9月、新たなセクション「お結び課」が新設される。若い男女の婚活を手助けするのが目的で、課長と職員の2人体制でスタートする。武雄市は2年連続で出生率が増加し、高齢化率も止まるなど、若い世代にも住みやすい土地柄となりつつある。それをさらに推進させるのがねらいだ。

 「今の日本は非婚率が高く、それを解消しないと地域の活性化は出来ません。いい人にいい人の仲を取り持とうということで、市のユニバーサルデザインにも合います」(樋渡市長)。

 課長は60歳以上の人材を全国公募し、非常勤特別職として8月に選考される。
「ボクの年齢では人生の機微がわかりませんから、機微のわかる60歳以上の人が適役です」(樋渡市長)。
 お結び課長の報酬は、月8万円で成婚1件につき3万円の出来高払い。10件まとめれば38万円だ。すでに「早く私の結婚をまとめて」との要望も届いている。「3年以内に離婚したら3万円の違約金を取ろうとのアイデアもあります、まあ冗談ですが」と樋渡市長はユーモアたっぷりに説明。新セクションへ寄せる期待の大きさがうかがえる。
 年齢制限で60歳以上とするのも、市長なりの考えがある。「これは日本の公務員制度への重大な挑戦です。なぜ60歳で定年退職しなければならないんですか。60歳は若くて、一番元気なころでしょ。『ジュニア・シニア』といってもいい年齢です。その人たちに働く場を提供し、やり甲斐を確保したい」と語った。
 なお、「お結び課」のアイデアは、市長就任以来、夕方や土、日にアポなしで続けている市民宅への戸別訪問のなかから生まれた。

 市長「赤ちょうちんみたいにくつろげる場所を作る『ちょうちん課』はどうかな?」。
 市民「それよりも縁結びをしたら」。
 市長「婚活課かな」。
 市民「婚活って言葉はすぐに死語になりますよ。縁結びのお結びがいいわ」。

 思いついたらすぐに実現させるのが樋渡方式。さっそく職員に対し、「お結び課」の設立について具体的な計画を作成するよう指示が出たという。

 1日の睡眠時間は約4時間。興奮してなかなか寝付けないこともある。「あれをやろうか、これはどうだろう」アイデアが浮かぶとすぐに武雄高校の同級生だった秘書課長に電話する。しかしながら、秘書課長は「しょっちゅうかかって来るため、たまに電話の内容を忘れてしまうこともあります。もっとも、市長自ら忘れていることもありますけどね」と市長自身の前でさらりと言う。
 秘書課長のみならず、樋渡市長と職員の距離は近い。また、そのようなフラットな市役所の体制から、斬新なアイデアが生まれてくるとも言える。

【関戸 幸治】

<プロフィール>
樋渡啓祐(ひわたし けいすけ)
1969年(昭和44年)11月18日、佐賀県武雄市朝日町生まれ、40歳。武雄中-武雄高-東京大学経済学部卒。94年、総務庁(現、総務省)入局、官房長官官房総務課などを経て、05年、総務省大臣官房秘書課課長補佐で退職。06年、合併後の新・武雄市における初代市長に当選。08年、市民病院の公設民営化に伴い辞職するも再選を果した。


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