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武雄から世界へ、ベンチャー市長の挑戦(2)~攻める市長&攻める公務員
行政
2010年6月15日 08:00

<行政自らが営業する>

 圧倒的なスピードで型破りの市政を展開する樋渡啓祐・武雄市長(40)はマスコミから「市長暴走列車」とも呼ばれる。とにかく動きが速い。市長が指示すれば、その日のうちに職員が動き出す職場環境が出来上がっている。2006年、市長に当選するとすぐに「営業部」を新設した。行政自らが営業する、これまでにない発想である。

 「別に東京からでなくても、この武雄から情報を発信できます。地域が自立するためには市民個人が自立しなければなりません。そのために『攻める公務員』を目指したのです」(樋渡市長)。

市役所内にあるいのしし課の看板 まずは、田畑や農作物を荒らすいのししを逆に名物にしようと「いのしし課」を設置した。わかりやすいネーミングでこれまで多くのマスコミに取り上げられた。「これを"有害鳥獣駆除課"と名づけたら、分かりにくいでしょ、シンプルが一番です」と樋渡市長は説明する。同時にハーブのレモングラスを扱う「レモングラス課」も置き、全国でもいち早く栽培を始めた。
 人口5万2千人の武雄の山間部には3万頭のいのししが生息するとされる。いのししの被害に遭った稲は臭気が移り、とても食用にはならない。被害農家が耕作を放棄すると、さらにいのししが集まる悪循環。これを断ち切ろうと市が乗り出した。
 その結果、年間約1,500頭が捕獲され、肉の一部は国や市が出資した武雄鳥獣食肉加工センター「猪突猛進やまんくじら」で売られる。シシ鍋を武雄温泉の名物料理にし、レモングラスを使ってのシャブシャブ料理も考案された。肉の販売目標は年間1,000万円。福岡、東京、大阪での販促イベントも好評だった。
 さらにレトルトカレー「とっしんカレー」やソーセージ、ベーコンなどの加工品は武雄温泉物産館や道の駅「黒髪の里」のお土産として売られている。
 2人体制でスタートした「いのしし課」は現在、5人。いのししだけでなくサル、カラス、アライグマの出没情報のたびにスタッフは飛び出す。

<フィルムコミッション事業も猪突猛進>

 暴走列車ぶりは島田洋七のベストセラー「佐賀のがばいばあちゃん」の06年のテレビドラマに対するロケ誘致でも発揮された。市長はアポなしで東京のフジテレビ本社を訪問。いきなり通されたのは制作部でなく報道部で、迫真のトップセールス。「面白い人が来た、とでも思われたのでしょう、話をよく聞いていただきました」と振り返る。
 その後もフジテレビへのセールスを続け、ついにロケ誘致を決めた。すると今度は、「佐賀のがばいばあちゃん課」を設置。これまでに2シリーズのロケ地となった。現在もこの課はフィルムコミッションの役割だけでなく「観光係・九州物語係」として由布、杖立温泉との連携といった広域連携を強力に進めている。同課の職員に話を聞くと、「役所にありがちな減点主義でなく『思いついたらすぐにやる』楽しい仕事です」と大張り切りだ。

【関戸 幸治】

<プロフィール>
樋渡啓祐・武雄市長樋渡啓祐(ひわたし けいすけ)
1969年(昭和44年)11月18日、佐賀県武雄市朝日町生まれ、40歳。武雄中-武雄高-東京大学経済学部卒。94年、総務庁(現、総務省)入局、官房長官官房総務課などを経て、05年、総務省大臣官房秘書課課長補佐で退職。06年、合併後の新・武雄市における初代市長に当選。08年、市民病院の公設民営化に伴い辞職するも再選を果した。


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