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武雄から世界へ、ベンチャー市長の挑戦(3)~行政ノウハウを輸出せよ!
行政
2010年6月16日 08:00

 行政としては前代未聞の「営業部」を持つ佐賀県武雄市。樋渡啓祐市長(40)は9月に新規事業の「海外事業本部」を立ち上げるという。すでに、市長の出身母体、総務省とも話し合いに入った。その合言葉は「雄飛」。

 「カンボジアに出張で行った時、超高級マンションの住人にインタビューしました。ところが何かソワソワしている。それは超高級なのに風呂、トイレがなく、それを知られたくなかったのでしょう」と樋渡市長。聞くと住人は近くの川で水浴びやトイレを済ましているという。マンションと泥の川との落差。日本では常識の上下水道、ゴミ収集のインフラがまるで整備されていないのだ。
 市長の経験から、日本の行政システムは日本一どころか世界一の水準までに整備されているのがわかる。そのノウハウを海外に持って行き、新たなビジネスチャンスを創造しようとしている。
 「僕ら行政は、住民の所得を上げて行くのが仕事です。そのためにインフラが整備された国内だけでなく、仕事がある海外に積極的に出てもいいのじゃないかと考えます」(樋渡市長)
 海外で人口規模15万~20万の日本スタイルも町を作ろうというのだ。むろん、行政ノウハウをはじめハード、ソフトの両面から手伝う。これは無償援助や海外協力でなく、れっきとしたビジネスを目指す。当面は中国、ミャンマー、カンボジアなどに販路を求める。
 そのための人材は抜かりなく集めている。昨年4月には佐賀県庁のエース山田恭輔さん(41)を政策部企画課企画係長で採用した。
今年4月は東大卒の総務省キャリアで市長の後輩にあたる小松政さん(34)を財政課主任に迎えた。ほかにも倍率44倍の中途採用で優秀なスタッフを集めた。
 樋渡市長によると、「小松さんは将来の総務省局長候補のひとりでぼくは総務省から『これは略奪婚』だとさんざん嫌味を言われました」という。2人ともあえて待遇のいいポストを捨て、年収も200万から300万円の減収を覚悟し、武雄に移住してきた。それだけ、等身大の仕事が出来る武雄市政に期待しているのだ。
 小松さんは福岡市役所にもNPO担当として出向していた。その時、樋渡市長と出会い「今の時期、君が働くのは霞ヶ関ではない。もっと夢がかたちになるところでやろうじゃないか」と誘われたという。「もっとも『市長は俺そんな事、言ったけ?』と笑われていましたけど」と小松さん。今、樋渡市長は「武雄を梁山泊にする」と豪語している。中国の宗代、豪傑が集まった梁山泊の再現を目指すのだ。

武雄・梁山泊

 市が海外事業をどう展開させるかは、今後の課題。山田企画係長は「東京や大阪でも同じ事業を計画しています。武雄の規模と同等の海外の街へノウハウを提供するつもりです。行政には公共事業の用地交渉から完成後の運営まで莫大な経験があります。それらをパッケージにしての交渉になるでしょう」と展望を述べた。

(つづく)

【関戸 幸治】

<プロフィール>
樋渡啓祐・武雄市長樋渡啓祐(ひわたし けいすけ)
1969年(昭和44年)11月18日、佐賀県武雄市朝日町生まれ、40歳。武雄中-武雄高-東京大学経済学部卒。94年、総務庁(現、総務省)入局、官房長官官房総務課などを経て、05年、総務省大臣官房秘書課課長補佐で退職。06年、合併後の新・武雄市における初代市長に当選。08年、市民病院の公設民営化に伴い辞職するも再選を果した。


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