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福祉用具業界の闇~官・業・学の巧みな利権構造(上)
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2010年9月30日 12:57

 10月1日は「福祉用具の日」だという。1993年のこの日に「福祉用具法」が施行されたのにともない、福祉用具に関わる独立行政法人や公益法人諸団体が02年度に定めたもの。「誰にもやさしい福祉用具、もっと身近に感じてほしい」をキャッチフレーズにその普及活動を展開するが、はたして「誰にもやさしい」と言えるのか。これら諸団体の中核を担っているのが、ユーザーを特定業者に囲い込む典型的な"厚生労動利権の代行機関"的存在だからだ。

<協会への4つの質問>

 「公開質問状への回答をもとに再質問し、しかるべく次の措置をとるつもりです。この数年で、証拠や材料はかなり集まりましたから」―と言うのは、㈱メホールケア(大阪市淀川区)の宮内照之代表取締役。
 同社は床ずれ防止用マット「ホットケアマット」の製造メーカーだが、公開質問状を出した相手は(財)テクノエイド協会(以下、協会)。福祉用具全般に関わる厚労省認可唯一の財団法人として、福祉用具を独自に審査、評価して、情報発信を行なっている。当然ながら、理事長の小嶋弘仲氏は元社会局長、常務理事の一瀬正志氏は元社会局監査指導課長、理事の(社)シルバーサービス振興会理事長・多田宏氏は元次官という、典型的な厚労省の天下り法人である。
 宮内氏が9月7日に出した質問要旨は4点。まず第1は、「ホットケア」のサイズおよび価格変更にともなう7月1日の変更申請を了承しながら、指示に従って新たに7月26日に旧製品の抹消申請と新製品の新規登録申請したにもかかわらず、何ら連絡がないこと。にもかかわらず、8月31日時点で同協会HPをチェックすると、これまで載っていた「介護保険の福祉用具貸与商品」リストから「ホットケア」が外されていたことについてである。
 第2は、協会へ出向している大手企業が中心になって、「ホットケア」の普及を阻んでいること。貸与サービス事業者は「扱うと厚労省、協会、日本褥瘡学会が怖い」と恐れているが、これは協会と一部企業が組織的に利益を得る構造にあり、出向企業と社員の公表を求めたもの。
 第3は、協会は欧米では使用されていないエアマットを介護保険貸与対象にしているが、苦情が多い現状をどう考えているか、ということ。
 そして第4は、エアマットがらみと思われる事故が年間10件以上起きているが、それに対する協会の状況把握と対策、責任についてというもの。
 これら4つの質問に対する協会からの回答を見る前に、宮内氏が公開質問した経緯を知ればその趣旨がわかる。

(つづく)

恩田 勝亘【おんだ・かつのぶ】
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。


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