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幻のコンベンションセンター(上)~吉田市政・最終検証シリーズ(2)
政治
2010年9月17日 08:00

 福岡市を舞台にした大きなプロジェクトがあった。表面化したのは2008年の4月頃。中国、韓国を中心としたアジアのゲートウェイとしての福岡市の地位は揺るぎないもので、国際会議も数多く開かれており、年間300万人もの人々が会議目的で福岡を訪れている。国際会議場や各ホテルを会場にしているものの、その容量に限界があることは明らか。そこでコンベンションセンターを新設しようという話が出てきたという。

 建設場所は人工島。そこに650億円近くの資金をかけて斬新な未来型コンベンションセンターを建設するというのがその構想。富山大学の伊東教授を中心とした設立準備委員会も作られた。むろん重要なのは事前の根回しである。九電、福銀を中心とした九州経済連合会がおおかたの資金を調達し、福岡県、政府はインフラ整備(具体的には地下鉄の延伸や都市高速道路の人工島乗り入れ工事など)を担当、福岡市は人工島の対象土地を安価で提供するというのが計画の骨子だ。財界、県と吉田市長が話し合って、ほぼ骨格が決定した。シドニーのオペラハウスのような都市を代表するコンベンションセンター、千葉県にある幕張メッセを凌駕するものを福岡に現出しようと計画されたのである。

 4月、大々的な発表が予定されていた。しかし、音沙汰がない。国・県・市・財界が一体となって推進してきた大計画にもかかわらず、ストップしてしまったのだ。開発が進む?人工島の様子原因は、吉田市長が約束した「土地を安価で提供する」という話が壊れたことだった。福岡市が提示した土地価格は坪40万円。山崎広太郎前市長が積水ハウスに売却した坪約27万円より高値ときては、県・財界が「そんな話、とんでもない」となってしまったのも当然といえよう。安価での提供を約束していたのに通常価格に変わってしまったのは、人工島の赤字拡大を危惧する福岡市官僚が吉田市長を突き上げたというのが定説。財政再建を錦の御旗に掲げる吉田市長は役人を説得することから逃げ出したのだ。

 だが、コンベンションセンターができれば、売る当てのない土地に将来性を見込み進出してくる企業もある。何よりインフラが整備されれば、人工島の弱点といわれている利便性が格段にアップする。それも国や県がやってくれるのである。福岡市にとってこれほどのいい話はない。吉田宏も総論は賛成だったというのも当たり前のこと。だが、コンベンションセンター建設による計り知れない経済効果は幻と化した。吉田市長を筆頭とした福岡市の非協力によって、コンベンションセンターの話は暗礁に乗り上げたのである。

【勢野 進】


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