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問われる品格、捨てられた吉田市長~吉田市政・最終検証シリーズ(4)
政治
2010年9月22日 10:17

吉田宏福岡市長 福岡エスタブリュッシュメントと付き合うなかで、吉田市長が当初の政策を捨てて、体制に呑み込まれていったのは必然だという人がいる。6年前、吉田氏は、次期北九州市長選挙に故・大迫ゼンリン会長から推されて立候補を考えていた。地元北九州では『大迫の太鼓持ち』などと揶揄する声が飛んだ。
 高級バーやクラブで酒を飲ませてもらいながら当時の末吉市政を批判することが吉田氏の政治世界への入口であった。西日本新聞経済部長として地方の言論の方向性を握っていた吉田氏のタニマチ的存在の経営者たちは、大迫氏の死で北九州市長を断念した吉田氏に、今度は福岡市長への途(みち)を拓いていった。

 鹿児島ラ・サール、慶大という極めてエリート色の強い学窓の出身ということも、彼の品格を規定している。自分は『選ばれた人』だという鼻持ちならない感覚も垣間見える。中洲のママが時折、同窓の仲間たちと酩酊状態で歩いている吉田市長を見るという。酒好きで有名な山崎広太郎ですら、市長の職にあった時は中洲のクラブに出入りしなかった。

 「何もしなかった吉田市長」という評価は、実は地元マスコミ各社の共通認識である。市民はそんな市長に失望し、支持者たちも離れていった。「自分から寄り付かなくなったのに、今更、後援会入会申込書と寄付金要請の手紙を送りつけてきた厚顔無恥さには反吐が出る」と語る社長すらいる。
 それでも九電工・橋田社長を中心とする陣営に吉田市長は自信を持っている。だが九電内の人事抗争で敗れて九電工の社長に追われた橋田社長に擦り寄れば擦り寄るほど、吉田氏を馬鹿にするエスタブリッシュメントもいる。御輿が軽ければよいと考えている連中は、実は市長が『吉田宏』でなくても構わないのである(かつて市長は山崎広太郎でなくても別によい、と彼らが考えていたように...)。

 コンベンションセンター建設に続きこども病院問題でも、吉田市長は市官僚の言いなりになることで九電との対立を引き起こした。こども病院の運営も含めたすべてを福岡市から受託されれば、自前の医療ファンドで引き受けてもよいと九電が条件を出した時に、施設は九電医療ファンド、運営は福岡市という案に固執したのだ。当然の如く九電サイドはこども病院建設から撤退した。「これからの病院は、医者の給料が高くては成り立たない」というのは社会の常識。民間的手法に程遠い福岡市が運営すれば赤字は必至である。吉田市長が「命を賭けても解決する」と言った『こども病院問題』も、実は人工島移転の前に暗礁に乗り上げつつあるのだ。

 品格、見識、指導力、責任感、構想力、すべてにおいて無能力である市長が、今回の選挙で敗れ去る可能性は十分にある。その時、吉田氏は自分が捨ててきたものの大きさを肌身で知ることであろう。17日の出陣式での吉田氏の演説は悲壮感に満ちていた。案外、周囲の風を読むことに長けている彼は、暗い予感を抱いているのかもしれない。

【勢野 進】


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