ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

深層WATCH

教育長って何様か?問われるその資質と見識(上)
深層WATCH
2010年12月27日 17:08

 教育委員やそれを司る教育長といえば、不祥事を起こした学校の校長らともども世間に頭を下げる損な役回りというイメージがあるが、その振る舞いを見聞きするかぎりは、頭を下げて当然という気にもなる。直近が、先の福岡市長選に立候補した元教育長の、選挙戦離脱だ。その非常識さに福岡市民の怒りと非難が集まるのは当然だが、「近年は教育委員会が行政と近づき過ぎて、教育長は隠れた利権ポスト化しつつある」と指摘する教育関係者の声が少なくない。

<前代未聞の市長選離脱宣言>

植木とみこ氏 2010年10月30日告示、11月14日投開票の福岡市長選に立候補しながら、11月9日に「勝てないから降りる」と戦闘放棄宣言したのは、植木とみ子氏(61歳)だ。同市長選は、現職を含む8人もの候補が立つ混戦だったが、選挙戦終盤にかかるほど中央政治を反映。「民主、国民新推薦、社民支持の現職VS自民、公明支援の民放アナウンサー」の対決構図が強調された結果、植木氏は元佐賀市長の候補に次いでそれなりの票を集めると見られていたが、4番手視されつつあった。
 そこで投票5日前の撤退表明となったものの、もとより告示後の立候補取り下げは認められない。投票は8人のまま行なわれ、21万票を獲得した民放アナウンサーが現職に6万5,000票差で圧勝。植木氏は1万3,000票の5位で供託金は没収された。
 選挙戦終盤になっての離脱宣言。当然ながら、取引説や圧力説などが取り沙汰されているが、どんな事情があれ、有権者を愚弄し、裏切ったのは事実。植木候補に不在者投票した市民から、告訴されてもおかしくはない。
 前代未聞の"怪挙"におよんだ植木氏とはどんな人物かと言えば、地元の名門、修猷館高校から九州大学法学部、同大学院博士課程を修了した、いわゆる"優等生"である。そして、長崎大講師から学究生活のスタートを切り、助教授時代に福岡市の市民局女性部長という行政ウーマンに転じた。とはいえ、その後は教育次長、市民局長などを経て教育長に就くという、行政職ながらも教育者としての色も残す、傍目には「立派な人格者」に映るキャリアを積んでいる。それだけ、今回の同氏の行動が全国の教育関係者を驚かせ、話題になったのも当然だろう。

(つづく)

恩田 勝亘【おんだ・かつのぶ】
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。

*記事へのご意見はこちら


※記事へのご意見はこちら

深層WATCH一覧
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル