ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

深層WATCH

教育長って何様か?問われるその資質と見識(中)
深層WATCH
2010年12月28日 08:00

<悪化するイメージ 教育長の逮捕者続出>

 都道府県、市区町村にある教育委員会のトップは委員長だが、実質的に教育行政全般を仕切るのは、教育委員から選ばれる教育長である。それだけに、本人意志か、周囲がその人格・識見に期待して担ぎ出したかはともかく、教育長経験者が自治体首長選挙に出馬、当選して、首長を務めるのは珍しくない。昨年引退するまで名古屋市長を3期つとめた松原武久氏や、現在の門川大作京都市長も前職は教育長だ。最近話題になった教育長出身首長といえば、今年1月、普天間基地の辺野古移設に反対して当選した稲嶺進名護市長だが、全国の市区町村では枚挙にいとまがない。

学校 彼ら教育長出身首長の思想信条とは別に、かつて教育長といえば教員出身者が多かったために、「教育者なら変なことはしないだろう」という有権者心理が働き、選挙では有力なカンバンになっているからだ。
 そんな先入観を植木氏は一変させたが、同氏に限らず最近の「教育長」のイメージは悪化する一方である。事件や不祥事に絡んでニュースになる教育長が、後を絶たないからだ。引責辞任したり、罷免される教育長はキリがないが、破廉恥の極みは何と言っても、自らが犯罪の当事者として逮捕されることだ。
 もっとも愚劣なのは、06年、岐阜県旧武芸町の町長と教育長が、贈収賄容疑で逮捕されたケースだ。教育長はまず教育委員になるため、次は教育長になるために、町長に現金やブランド品を贈っていたというもの。「教育長」ブランドが、次期町長への近道とでも考えていたのだろうか。
 教育界らしい収賄容疑で03年に逮捕されたのが、三重県尾鷲市教育長。大阪にある教科書出版会社の東海支社が、尾鷲地区の小中学校使用教科書の採択に便宜を図ってもらうために贈った現金を受け取っていたというもの。同様に、教育界ならではの事件が、08年の大分県由布市教育長のケース。教育長になる前の義務教育担当審議監時代、教員採用試験で便宜を図る見返りに、100万円の商品券を受け取っていた容疑が固まって逮捕された。

 教育とは関係なく、役人が陥りやすい陥穽にはまったのが、福岡県大木町の07年当時の教育長だ。中学校の大型改修工事(2.6億円)の入札にあたり、久留米市の建設会社の依頼で同社を含む8社を指名競争入札業者に決めた容疑で、町会議長とともに逮捕されている。

 「かつて『教育は票にならない』と言われ、政治(行政)も教育にはあまり目を向けていなかったのが、最近は政策としての教育が政治にとって大きな比重を占めるようになり、それだけ教育を重視するようになった。その分、教育委員会あるいはそれを仕切る教育長を身近に置きたい行政とが、接近しているんです」と言うのは、東京都の教育庁OB。

(つづく)

恩田 勝亘【おんだ・かつのぶ】
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。

*記事へのご意見はこちら


※記事へのご意見はこちら

深層WATCH一覧
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル