ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

深層WATCH

教育長って何様か?問われるその資質と見識(下)
深層WATCH
2010年12月29日 08:00

<利権と紙一重の教育行政 そのトップが教育長>

学校 周知のように、教育委員会は各都道府県にあり、その下に市区町村の教育委員会がある。ほとんどの都道府県教委が行政組織として教育庁を置き、そのトップが教育長である。教育庁を置いていない府県は、市区町村のそれと同様、教育委員会事務局が置かれて教育長が行政職である役人たちを指揮している。どの教育委員も、自治体首長が議会の同意を得て任命し、そのなかから行政との繋ぎ役である教育長も議会の承認を得て任命される。したがって教育長は、自治体首長である知事や副知事、あるいは助役らと同じく、特別職公務員扱いされている。
 そんな教育長は、現場の教師たちにとってどんな存在か。

 「教師経験者と自治体職員、いわゆる行政職出身と2通りあり、それぞれ一長一短あってどちらが良いとは言えない。ただ、教師側から見れば教育長は最後のよりどころであり、その意味では、教師経験者の方がより現場を理解してくれるという気持ちはある。いずれにしろ教育行政は、地方、地域によってそれぞれ違うだけに、それを仕切る教育長の存在は大きいですね」(愛知県下の中学校長)。

 小中一貫教育を掲げて学校統合を進める東京・品川区、東京都が採用した教員とは別に区の行政職枠で独自に教員採用する杉並区など、たしかに教育行政は地域によって独自色があり、それを司る教育長の権限は大きい。教育庁あるいは教育委員会事務局の組織は、各都道府県、市区町村ともに似たようなものだが、それらを些細に眺めると先の教育長逮捕例に見られるように、利権に結びつきやすい部門が多々ある。まず、学校の建設、改修、あるいは用度調達、給食関係など、いわゆる業者と直接触れ合う部課がある。利権に関係なさそうな教育部門も、教科書や副教材の選定、あるいはテスト発注などで業者との接触がある。そして、教員採用という人事部門がある。それらすべてのトップに立つのが、教育長だ。

 「品川区の一貫教育行政も、学校統合が進む結果として、跡地利用をめぐって業者が動いているようです」(東京都教職員組合員)と言われるように、教育行政は利権と紙一重だ。教育長の振る舞いには、これまで以上に目を光らせる必要がある。

(了)

恩田 勝亘【おんだ・かつのぶ】
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。

*記事へのご意見はこちら


※記事へのご意見はこちら

深層WATCH一覧
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル