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第三セクターが抱える問題(3)~福岡市・行政改革の実態(24)
行政
2011年2月11日 07:00

 第三セクターは、行政サービスの提供など地方自治体の行政目的を実現する主体としての地位を有するとともに、その法人組織そのものに行政目的実現の手段性が認められます。そして、このような「事業主体であり、事業手段である。」という第三セクターの二面性により、次のような二律背反的な要請が発生します。

 ひとつは、機動的・効率的に行政サービスの提供その他の行政目的を実現するために第三セクターを活用する趣旨に鑑みれば、その効果を十分に引き出すために、地方自治体はできるだけ詳細に関与せず、当該法人の自律性・独立性を尊重する必要があるという要請です。
 他方では、第三セクターの事業活動の公共性・公益性を確保する観点および第三セクターへの公費の支出に伴うアカウンタビリティの観点から、当該法人の適切な経営(事業運営)を確保するため、地方自治体は責任をもって指導・監督を行なう必要があるという要請です。

 また、第三セクターが有効に機能すれば、アウトソーシング方式や公益ネットワーク方式と類似の機動性、効率性、有効性の向上が期待できる反面、次のような機能不全の要因が内包しています。
 (1)第三セクターが地方自治体からの委託事業を独占的に引き受けているような場合は、市場原理が有効に機能せず、第三セクターにおいて効率性確保のインセンティブが働かない結果となる。
 (2)第三セクターへ多くの地方自治体職員が出向している場合は、公務員の硬直的な労使慣行の影響を受け、機動的な経営を阻害する要因となる。
 (3)第三セクターへ地方自治体から補助金などが恒常的に支出されている場合、あるいは第三セクター内部において、NPOのような特定の公共目的実現に向けた連帯感情が存しない場合は、事務事業の有効性を評価(業績評価)するインセンティブが働かない結果となる。

 このような機能不全を起こした第三セクターにおいては、往々にして、第三セクターの二面性(すなわち「事業主体であり、事業手段である。」)を恣意的に使い分ける不適切な対応が見受けられます。市政だよりたとえば、情報公開の場面では、自律性・独立性を強調して地方自治体への情報提供を拒否したり、非公開を主張したりする反面、それ以外の場面では、公共性・公益性を強調し、補助金や受託事業などの財政的な支援を求めたり、「市政だより」などの市役所の広報活動などで宣伝・広告の支援を求めるようなケースがありました。

(つづく)
【寺島 浩幸】

≪ 第23回「第三セクターが抱える問題(2)」 | 

<プロフィール>
寺島浩幸氏寺島 浩幸 (てらしま ひろゆき)
福岡県立修猷館高校、福岡大学法学部法律学科を卒業。1987年に福岡市役所入庁後、総務局法制課、人事委員会任用課、情報公開室係長、市長室経営補佐係長、議会事務局法制係長などを歴任し、2010年8月退職。在職中、主に法律関係の職務に従事するとともに、市長直属の特命業務や議員提案条例の支援を担当するなど、市長部局と議会事務局の双方の中枢業務を経験。
 現在は、行政書士事務所を開業して市民の身近な問題の解決をサポートするとともに、地域主権の要となる地方議会の機能強化を目指し、議員提案条例アドバイザーとしても活動中。

<主な実績>
・日本初の協定方式による第3セクターの情報公開制度の条例化
・日本初のPFI事業(タラソ福岡)の破綻再生
・日本初の「移動権(交通権)」の理念に立脚した議員提案条例の制定支援

▼関連リンク
寺島氏ブログ
・ツイッターは、コチラ


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