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特別取材

子どもの犠牲で成り立つ高収益企業グリー(上)
特別取材
2011年2月26日 10:00

(2011-02-21 12:00掲載)

 グリーは、会員数約2,400万にもなる携帯ゲームサイトを運営し、この6年間で売上高が352倍になった急成長企業だ。六本木ヒルズに洒落たオフィスを構え、テレビCMを席巻する若者に人気の企業だが、無知な子どもたちからお金を巻き上げ、淫行や強姦の被害児童が激増する企業でもある。グリーは、この1年間で400人近い児童を犠牲者として犯罪者に提供した。

携帯をする女子高生 警察庁は2月17日、2010年中のインターネットサイトに起因する事犯の検挙例をまとめた。それによると、出会い系サイトを舞台にした犯罪は前年比178件減少の1,025件だった。出会い系サイト規制法の施行によって規制されるようになったことも手伝って、4年連続の減少となり、ピークとなった2006年の1,915件と比べると半減に近い。警察を悩ませてきた児童買春は3分の1以下の254件に減っている。そういう意味では、法規制の意味はあったといえるだろう。

 問題は、規制の対象外である健全サイト、とくにSNSサイトを通じた犯罪が急増している点だ。18歳未満が被害にあう福祉事犯は前年比14.4%増の1,541件で、被害にあった児童は1,239人になった。内訳は青少年保護育成条例違反(淫行)が772人、児童買春が214人、児童ポルノが180人だった。舞台となったSNSサイトとは、ミクシィ、ディー・エヌ・エーの提供するモバゲータウン、そしてグリーである。なかでも突出して多いのが、「無料」ゲームをエサに誘導するグリーだった。

 警察庁は各社のコンプライアンス担当幹部らを呼び出し、各社の個別の被害状況をそれぞれに当該企業に詳しく伝え、改善を要望している。呼び出されたSNSサイト企業や関係者の話を総合すると、ミクシィやディー・エヌ・エーがほぼ横ばいか減少傾向にあり、両社とも年間の被害児童数は60人前後になっているが、グリーだけは業績や会員数の激増と比例するかのように被害児童数も右肩あがりで増えている。グリーによる09年の被害児童数は150人強だったが、10年には約400人にもなった。ネット企業でこれだけの人数の被害者を出すのはグリーだけで、他社と比較しても突出して多い。

 グリーの場合、ネット環境に未熟な小学生や中学生がゲームやりたさに会員登録し、そこでサイト内のミニメール機能を使って「友達」とメール交換しているうちに、犯罪に巻き込まれる事例が一般的だ。児童買春や淫行目的の人間があらかじめ小中学生になりすまして会員登録し、獲物を待つケースが多いからである。

 たとえば福岡県警久留米署は2010年2月、グリーで若い女性になりすましていた暴力団組員が久留米市のアルバイトの女性(16歳)や高校2年生を「友達」のふりをして近づき、おびき出して相次いで強姦していたとして、この組員を強姦容疑で逮捕した。同年5月には千葉県警松戸東署がグリーで知り合った中1の女子に淫行した中学校教諭を逮捕、神奈川県警山手署もグリーで知り合った中2の女子にわいせつ行為をし、カメラで写真を撮った会社員を児童売春・児童ポルノ禁止法違反容疑で逮捕している。こうした事例は枚挙に暇がなく、日本中で発生している。

(つづく)

【特別取材班】

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