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日本再占領 「原発アノミー」で大混乱した3.11後の日本(2)
政治
2011年5月23日 07:00
国際政治経済評論家 中田安彦(SNSI研究員)

 「國體(国体)」がガラガラと崩れたのは、神国日本のアメリカに対する完膚なきまでの敗北であった。それは昭和天皇の玉音放送、それに続く天皇の人間宣言である。連合国軍最高司令部(GHQ)の総司令官のダグラス・マッカーサーの考えもあり、日本占領統治には天皇の存在が必要だったために、昭和天皇は他のA級戦犯とは別に何も罪を問われなかった。昭和天皇の終戦直後の行幸アメリカと結託した海軍の米内光政らが陸軍の東条英機らをスケープゴートとして差し出した。この終戦処理の結末によって日本の急性アノミーは最悪の状態は避けられた。しかし、教科書の黒塗りや戦時中弾圧されていた日本共産党の復活など、日本の社会構造に与えた影響は大きかった。これまでは非国民であった者たちが、権力者を人民裁判にかけるぞと脅しにかかる立場が生まれたのであるから、それは当然だろう。

 そして、戦後の日本は米ソ冷戦構造に上手に組み込まれ、日本はアメリカの庇護の下、名ばかりの「同盟国」として経済成長を謳歌し、朝鮮戦争に始まり、ベトナム戦争や湾岸戦争にいたるまでアメリカが行なった大規模な海外遠征への加担を最小限に食い止めることができた。これが「吉田ドクトリン」というものである。この戦後体制は冷戦が続いている間は非常にうまくいった。戦後日本は、アメリカの社会学者であるジョン・ダワーの言葉を借りれば、「敗北を抱きしめる」(ダワーの著書の題名)形で大きくなっていたのだ。

福島第一原発3号機の水素爆発(3月14日) そして、2011年3月11日の大震災があり、福島第一原子力発電所の第1号機、第3号機の原子炉建屋の大爆発が起きた。この映像はたまたま日本テレビなどが撮影していた。その映像たるや、広島・長崎の核爆弾や欧米が繰り返し行なってきた核実験の際の「きのこ雲」を彷彿(ほうふつ)とさせるものがあった。黒煙を吐き出しながら爆発する3号機の映像は明らかにその前日に爆発した1号機のそれとは異なるもので、原子力に批判的な元技師であるアーニー・ガンダーソン氏(フェアウィンズ・アソシエーツ)は、「これは核爆発の一種である「即発臨界」と言われるものだったのではないか」という説を展開している。3号機の使用済み燃料プールの核燃料が水素爆発の直後に爆発したと分析しているのである。仮にこの分析が事実とすれば日本で3回目の核爆発が起きたことにはなる。

 3月11日の東北関東大震災は、津波という自然の脅威を私たちにまざまざと見せつけた。そして、甚大な原発事故は私たちの価値観を崩壊させた。それは、一般大衆の間にあった、「色々言われているが日本でチェルノブイリに匹敵するような事故は置きないだろう」という<原子力安全神話>の崩壊である。これが戦前の國體と同じものであったと私は考える。

(つづく)

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<プロフィール>
中田 安彦 氏中田 安彦 (なかた やすひこ)
1976年、新潟県出身。早稲田大学社会科学部卒業後、大手新聞社で記者として勤務。現在は、副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動。主な研究テーマは、欧米企業・金融史、主な著書に「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」などがある。

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