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民主党代表選 「ポスト菅」をめぐる争い(前)
政治
2011年8月19日 07:00
2011年8月15日
副島国家戦略研究所(SNSI)・中田安彦

 野田といえば、昨年の参議院選挙で消費税の増税が争点になった時も、アメリカのルース駐日大使に、消費税増税について、「国民もだんだん理解し始めている」とわざわざ報告しに行ったほどの人物だ。野田は円高是正のための米国債買いの介入を去年(2010年)の9月15日(代表選翌日)、震災直後に円高が進展した3月中旬、そして米債務危機を背景に急速に円高が進んだ、この8月に行なった。ところがこの円売りドル買い介入の効果は結果的にみて円高基調を押しとどめるほどの効果はなかった。

 この野田のドル買い介入を暗に批判しているのが馬淵だ。馬淵は円高の原因として金融政策として、日銀が「量的緩和」を行なっていないことをあげている。量的緩和の代表格と言えるのが、アメリカが10年秋から始めて今年(11年)の6月で一旦はやめた、QE2のような政策だ。

お金 要は、馬淵は、世界中でお金の流通量を増やしているにもかかわらず、日銀だけがマネタリーベース(お金の量)を引き下げていることが根本的な円高の原因であり、ドル買い介入には意味が無いというもので、「デフレ脱却論」を重視する立場だ。小沢一郎前代表は震災後に米紙WSJへのインタビューで「金なんぞ印刷すればいい」と発言していたが、二人の経済政策は震災時に金融引き締めを行なうべきではないとする点で共通する。野田と馬淵の経済・金融政策のどちらが正しいかというと、これは歴史が証明している。増税と緊縮は震災復興時にはやってはいけないのである。

 たとえば、田中秀臣・上念司の『震災恐慌』(宝島社)という本には、戦前の昭和恐慌に陥った時の経済政策の舵取りを握った高橋是清・大蔵大臣が財政支出と金融緩和を行なっていた事例があげられている。
 また、同書には戦後のわずかな期間だが総理を務めた石橋湛山が経済ジャーナリストをしていた1925年(つまり関東大震災から2年後)に書いた論文が引用されている。それによれば、戦前にも浜口雄幸大蔵大臣(後の首相)や大蔵省が、震災後の緊縮財政・財政再建を目指して、金融緩和を行なわず、いたずらに円高状態を放置したことがあった。これを石橋湛山は強く批判した。

 結局、大震災、金融恐慌という二重苦から日本を立ち直らせたのは、高橋是清の積極財政政策だったのである。要するに、震災によって経済が弱っているときには財政再建は絶対にやってはいけない政策なのである。
 野田を暗に批判する馬淵は、日本がデフレから脱却することで、具体的には「未来型エネルギー国家」なりの経済成長を手助けする形成を進めた上で、税収を回復させることを前提に消費税増税を検討すべきだというスタンスである。このように、今回の民主党代表選挙では、経済政策をめぐり、財政規律か経済成長かという対立軸ができあがっている。

(つづく)

≪ (序) | (中) ≫

<プロフィール>
中田 安彦 氏中田 安彦 (なかた やすひこ)
1976年、新潟県出身。早稲田大学社会科学部卒業後、大手新聞社で記者として勤務。現在は、副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動。主な研究テーマは、欧米企業・金融史、主な著書に「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」などがある。

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