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民主党代表選 「ポスト菅」をめぐる争い(中)
政治
2011年8月19日 14:00
2011年8月15日
副島国家戦略研究所(SNSI)・中田安彦

 野田は大学を出た後、松下政経塾に入塾、その後、千葉県議会議員となり政治家一本でキャリアを歩んでいる。一方で馬淵は、大学卒業後、三井建設社員やコンピューター関連商品製造販売会社の取締役や北米法人最高経営責任者など民間企業の経験がある。また、土建屋あがりの政治家である田中角栄元首相を尊敬すると公言する「変わり者」でもある。経済政策に関しては財務省の言いなりにはならない素地が、馬淵には政治家一筋の民間企業経験がない野田よりはあるわけだ。

 次にエネルギー政策についてだが、三者とも菅首相の「脱原発」を唐突だとする姿勢では共通しているが、野田・海江田と馬淵とでは若干ニュアンスが違うようだ。馬淵は、「安全技術の確立」と「未来型エネルギー国家」の姿を提示することを前提に、原発やその他の電力ノウハウを海外に輸出していくべきだとしている。

国会 一方の野田や海江田は、原発輸出にはかなりの積極派である。なかでも野田は、「短兵急に原発輸出を止めるべきではない」とまで述べている。これは、現政権で菅首相に否定的で現在の民主党における主流派の一角を形成する仙谷・前原グループが、積極的に原発輸出の旗振りをやってきたからだろう。代表選でも野田を支持するのは前原グループが中心となるから、その支持層の意向が絡んでいるからだ。

 仙谷や前原はアメリカのジャパン・ハンドラーズ(日本対策班)とも深く結びついており、アメリカの推し進める中国包囲網の形成に日本もひと役買うべきだという発想があり、野田もこれを支持している。
 仙谷は原発や新幹線などのインフラ部門の海外セールスを、これまで前田匡史(国際協力銀行資源ファイナンス部長、内閣官房参与)という自らの顧問を使って国策として推し進めており、自身も去年(2010年)、前原と共にベトナムに出向いている。仙谷や前原を高く買っているのがアメリカのアーミテージ元国務副長官たちであり、日本の財界人では、JR東海の葛西敬之会長らである。アーミテージと葛西は「反中国派」であり、ビジネスの側面でもベトナムやインドとの連携を重視している。

 海江田も、トルコの駐日大使やベトナム副首相との対話を例に引きながら、「日本の(原子力)技術に対する期待は非常に大きい」と述べている。しかし、ここで海江田が同時に専門家の話として、「この20年くらい日本の原発における安全確保の技術は、やはり安全神話に浸っていてあまり進歩がなかった」とも述べていることに注目すべきだ。そうであるならばなおさら、原発事故の収束も見ておらず、なおかつ原発の安全技術が確保されたか否かもはっきりと国民的な議論が行なわれているとは言えないなかで輸出を再開すべきではないと海江田は言うべきではないのか。海江田は国民ではなく財界の方ばかりを見ているようだ。
 そのなかで馬淵の提言は、一応は筋が通っている。菅直人の脱原発宣言を唐突なものだと批判してはいるが、その上で、「真に国民の信頼を得ることができる安全技術の確立」を再生可能エネルギーの推進とともに重視すべきだと述べているからだ。

 つまり、脱原発を叫ぶだけではなく、最先端の技術を開発して経済成長につなげていくべきだというのが馬淵の主張だ。(ただし、原発再稼働については野田・馬淵とも容認する姿勢のようだから、代表選がこの二人の対決となれば、大きな争点にはならないだろう)。
このように、野田(増税・大連立)・馬淵(増税反対・大連立慎重)という風に対立軸がかなり明確な代表選挙だが、この他にも鹿野農水大臣や小沢元環境大臣が出馬すると言われている。

 鹿野は、元は自民党であり、小沢一郎とは新進党の時に一緒になっているが、後に対立し新進党の代表選挙で争う関係になったこともある。新進党を小沢が1997年に解党したときには、反小沢系の議員を集めてミニ政党の「国民の声」を作った。
小沢鋭仁は、鳩山政権時の環境大臣(鳩山グループ所属)であり、地球温暖化防止のために原子力発電の拡充をうたったことがあるが、震災後は、原発については、当面の新増設を否定し、長期的視点での段階的撤退を提唱する方針に転向した。経済政策では馬淵同様にデフレ脱却を打ち出すことをすでに7月下旬に表明している。

(つづく)

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<プロフィール>
中田 安彦 氏中田 安彦 (なかた やすひこ)
1976年、新潟県出身。早稲田大学社会科学部卒業後、大手新聞社で記者として勤務。現在は、副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動。主な研究テーマは、欧米企業・金融史、主な著書に「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」などがある。

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