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特別取材

玄海原発を考える(1)~見えない何かから逃れる人々
特別取材
2011年11月28日 11:42

sora_3.jpg 2011年3月11日。この日、文字通りの激震が東日本を襲った。先進国日本の文明を凝らせた街は、もろくも自然の力に押し負けてしまった。人々は逃げることしかできなかった。避難者は一見同じ様子を示すが、実は2種類にわけることができる。

 ひとつは自然の猛威から逃れる人々。地震と、その後に起こる津波によって家や職場をなくして、さっきまで平和に過ごしていた町の面影を荒野に重ね、茫然自失とするよりほかない人たちだ。

 もうひとつは家も職場も何も、地震で揺れはしたものの、大きな損傷もないのに逃げなくてはならない人たち。何もかもその場に残して、意味もわからずに逃げなさいと言われる。その原因が原子力発電所から漏れ出る放射線からの避難である。精神的なショックはどちらも激しいと思うが、無味無臭、無色透明の「何か」があるかも知れないから退避しろと言われるのは、家族と生き別れになるような感覚で、とても大きな心の傷を負ったのではないかと推察する。近代まれにみる大震災だが、後者の避難者を生んだのは自然の力ではなく、文明の粋を集めた人間のおごりであるのではないだろうか。

 原子力は安全で、環境負荷が小さいクリーンな発電方法だ、と喧伝していた方々は、この惨状をどう見るのだろうか。ただ、はっきりしているのは、今回の原発災害で市民一人ひとりの持っている意識がまったく変わったということである。

 安全と言われていたものが、実は地域を壊滅に追い込む可能性を秘めていることがわかった。これは、いわゆる大御所の方々の意見は当てにならないという認識になったということだ。大御所の方々は安全と言い、推進してきた。ところが、どうやらそれは違うみたいだ、と気がついたのである。そして、ここで意見が二つに割れる。「それでも原発は必要だ」とするものと、「原発はないほうがよい」とするものだ。

 しかしながら、いずれが正しいのか、判断しようにも何をよすがにすればよいのかすらわからないのが現状ではなかろうか。そうこうしている間にも、避難地域、除染、原発の安定化など、次々と取り組まれている。今、はっきりとどうしなくてはいけないのかを考えなくてはいけない。明日、我が町が同様の被害を受けるとも限らないからである。

【柳 茂嘉】

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