ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

特別取材

【特別対談】都市構想・原点回帰(中)
特別取材
2011年12月30日 07:00
建築家 有馬 裕之 氏
ランドスケープアーティスト 石原 和幸 氏

 1人は、アクロス福岡などの設計で福岡市とも関わりの深い、世界的に著名な建築家の有馬裕之氏。もう1人は、世界で最も古く権威のある「英国チェルシーフラワーショー」で"世界一の庭師"としての地位を築いたランドスケープアーティストの石原和幸氏。いずれも世界の第一線で都市計画・都市景観の策定などにも携わっている2人である。彼らの目から見た都市づくりの在り方をテーマに、対談を行なった。

(進行:弊社代表・児玉 直)

 石原 今はインターネットの普及で文字通り世界中とつながっており、東京と比べてどうこうではなく、『世界のなかで、福岡のここに行きたい』と思えるようなまちづくりが重要になってきます。

 私の場合、どうしても"花"ですので、花と緑を"生きた建築素材"として近代的な建物だろうが何だろうが、あらゆるところに取り入れていけば、まちがまた面白く、そして元気になるのではないかと思います。

hutari_2.jpg 有馬 よくわかります。世界と比べたうえでの優位性ですよね。

 私は、1998年に行なわれた京都市主催の「21世紀・京都の未来」という国際コンペで受賞したことがあるのですが、そこでは「庭」「祭」そして「墓」という3つの提案をしました。

 まず1つ目の「庭」ですが、ここで提案したのは「千の庭」というものです。全世界から、1,000個ものいろいろな人の庭をつくる―たとえば小さな子どもであれば小さな鉢植えでもいい、ある程度お金があるような大企業ならば広大な庭で、さらには税制優遇で本社を移してもらう―そのようなものを提案しました。

 2つ目の「祭」は、人間のアクティビティとは何かを考えたとき、ここに行き着いたものです。たとえば京都のお祭は、毎年同じ道で行なわれていますが、それを年ごとに変えていこうというようなものを提案しました。同じ場所だけの経済効果ではなく、道を変えることでそれを各地に広げていこうという試みです。

 3つ目の「墓」は、何となくネガティブなものに思われがちですが、でもよく考えると、ピラミッドにしろ何にしろ、お墓が観光地になっています。世界中の誰であれ、そこに自分のお墓があれば行きたくなるものでしょう。そういったプログラムを提案しました。

 今までは、都市の基本構想が表面上の景観的なものだけでやっているのに対して、これからは、動くもの、変化するものをいかに取り入れていくか、というのがまちづくりのなかで重要になると思っています。

 ―都市づくりといえば、有馬さんは現在、さまざまなかたちでモンゴルに関わっていらっしゃいます。

arima_1.jpg 有馬 私は初めて訪れるまでは、今思えば大変失礼な話なのですが、モンゴルのことをいわゆる後進国だと思っていました。もちろん現在ではそのような認識はまったくなく、文化の高さを始め、人々のエネルギーなど、さまざまな部分でこの国に惹かれています。たとえば彼らモンゴル民族は、人口はたったの270万人しかいません。しかし、「文化で絶対に負けない」ということを言うのです。この負けないというのは、何も「ファイト」的な意味ではなく、大国―中国やロシアが相手でも、オリジナリティーを持ち引かないという意味合いのものです。その一方で、彼らは先進国と言われるアメリカ型・欧米型のものから一定の距離を持ち、もう1度自分たちのオリジナルに立ち戻ろうとしています。

 現在はまだ、経済規模もGDPも日本の10分の1以下ですが、これからの世界ではこのようなパワーを持った人々、国の方が、もしかしたら勝ってしまうかもしれません。

 石原 アジアでいえば、私はシンガポールによく行くのですが、あそこの戦略はスゴイですね。言ってみれば、「株式会社シンガポール」ですよ。

 有馬 シンガポールの戦略は、知的所有権に対して共同会社を設立する法案を通していますね。どんなに小さな会社でも、プレゼンテーションの内容が良ければ、直接世界とネットワークを結べる―そういった組織につくりかえています。

 石原 さらにリーダーの力もスゴイですね。私の場合は、飛行機を止められまして「石原君、シンガポール人になれ」と勧誘されました。「これは拉致か?」みたいな(笑)。ですが、そのようにしてリーダーが優秀な人間を国に引っ張ってくるわけです。そうやって国を守っていこうという、戦略です。

 これらのアジア諸国の戦略などを目の当たりにし、そういう視点で日本を見たときに、やはり「私たちが頑張らないといけないな」と思います。私たちが頑張って、ここで新しい価値観をいろいろな方と組んでやるべきだと思います。今は「国が悪い」とか「何が悪い」とかいうことではなくて、とにかくやるしかありません。

(つづく)
(文・構成:坂田 憲治)

≪ (前) | (後) ≫

<プロフィール>
arima_p.jpg有馬 裕之(ありま・ひろゆき)
1956年、鹿児島県生まれ。京都工芸繊維大学卒業後、80年に(株)竹中工務店入社。90年「有馬裕之+Urban Fourth」設立。さまざまなコンペに入賞し、イギリスでar+d賞、アメリカでrecord house award、日本で吉岡賞など、国内外での受賞暦多数。さまざまな地域活性の町づくり委員も務める。作品群は、都市計画から建築、インテリア、グラフィックデザイン、プロダクトデザインなどさまざまな分野におよび、日本・海外を含めたトータルプロデュースプログラムを展開している。

<プロフィール>
isihara_p.jpg石原 和幸(いしはら・かずゆき)
1958年、長崎県生まれ。22 歳で生け花の本流「池坊」に入門。以来、花と緑に魅了され路上販売から店舗、そして庭造りを展開。その後、苔を使った庭で独自の世界観がガーデニングの本場イギリスの伝統行事「チェルシーフラワーショー」で高く評価され、06 年から異部門で史上初の3年連続金メダルを受賞。10 年にはショーガーデン部門初出展で銀メダルを受賞。全国で壁面緑化事業を展開し、環境保護に貢献すべく多方面で活躍中。著書に『世界一の庭師の仕事術』、『緑のアイデア』(WAVE 出版)がある。




*記事へのご意見はこちら


※記事へのご意見はこちら

特別取材一覧
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル