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山本太郎氏インタビュー~「今年、廃炉が決まらないなら僕は日本を出る」(中)
脱原発・新エネルギー
2012年4月26日 11:30

 NHK大河ドラマ『新選組!』や故・深作欣二監督『バトル・ロワイアル』などで知られる、俳優の山本太郎氏。日本が誇る実力派俳優は、2011年4月9日にツイッターにおいて「黙ってテロ国家日本の片棒担げぬ」と発言し、脱原発活動を開始した。その後、「迷惑はかけられない」と所属事務所を退社し、収入は10分の1になってしまったという同氏。彼をそこまでして突き動かしたものは何だったのか。現在進行形で闘う俳優、山本太郎の「今」に迫った。インタビュー第2回(全3回)。

 ――「メディアがダメになってしまった」とはいえ、今はインターネットの時代です。能動的に情報を集めることで対処ができそうですが。

0426_yamamototaro.jpg 山本太郎氏(以下、山本) たしかにそうですが、そもそも危機感を持っていなければ自ら情報を得ようとする気が希薄になりがちです。僕が訪れたドイツでは、若者もしっかり原発に対する持論を持っていました。きちんと関心を持っているわけです。残念ながら日本の若者には、そういった人が少ないと思います。この違いはいったいどこにあるのか―。
 僕が思うに、やはりそれは、ヨーロッパに生きる人たちの歴史に起因します。ヨーロッパというのは陸続きなので、昔から少しでも気を緩めれば、他国から侵略されるリスクを背負ってきました。そして、民衆が声を上げなければ、搾取されるという現実があったので、いろいろなことに目を光らせ、常に自分たちの権利を勝ち取ってきました。原発に対する危機感の違いには、こういった歴史的背景が大きく作用している気がします。

  ――それは非常に興味深い視点です。

 山本 また、ドイツは、ユダヤ人の大量虐殺など過去に戦争で過ちも犯してきました。しかし、そういったできごとに対して蓋をせず、向き合ってきたように思います。なぜ、このようなことが起きてしまったのかを徹底的に検証するとともに、相手に対して補償も行なってきた。過去の自分たちから逃げなかったのです。

 しかし、我が国・日本はどうでしょうか。戦争のことに関しても、常に大国の顔色をうかがってきました。敗戦後、常にイニシアチブを取られ続けてきた。GHQに去勢され、いつしか日本国民は、自ら立ち上がることを忘れてしまったのです。

  ――都合良く飼い慣らされた日本国民は、政治的にもコントロールしやすい、と。

 山本 最近では、東北のがれき問題が良い例だと思います。現在、政府は「がれきの処理を進めないと復興が進まない」という意見を広めています。しかし、そこにあるのは、利権の問題です。阪神大震災のときは、処理費用が1トンあたり約2万円だったのが、今回は、その3倍の約6万円という値がついています。また、がれきの処理に関しては、安全性が担保されていません。ダイオキシンでさえも、規制値が確定するまでに数年間かかったにも関わらず、なぜ放射性物質は「燃やしても大丈夫」と即座に判断できるのでしょうか。汚染されたがれきを焼却したときに、放射性物質が微粒子に変わるなら、政府が言うようにフィルターでキャッチできるかもしれません。しかし、それがガスに変わる可能性もあるそうです。そうなれば、当然フィルターでは対処できません。また、政府による放射性物質を使った実証実験が行なわれていなかったことが判明したのですから、あまりにも危険すぎると思います。

 今、北九州が受け入れに動いていて、さらには沖縄まで手をあげようとしています。なぜ、そこまで遠い場所で処理する必要があるのか。それに、広域処理しようとしているがれきは、全体の2割にも満たない量です。この2割のがれきのせいで「復興が進まない」という理屈を浪花節のようにテレビや新聞で広めているという現実に、疑問を抱くべきだと思います。

 国民は原発事故で大きく国に裏切られ、メディアに騙されてきました。そして1年も経たないうちに、この大宣伝によって同じ目に遭おうとしていると言えます。国民は、このままお人好し過ぎるままでいいのか、疑問です。

  ――お人好しなのは国民性でしょうか。それとも、ほかに理由があるとお考えですか。

 山本 一番の理由は、メディアにあると思います。現在は、インターネットや反原発の活動を行なっている人から正しい情報を得ることは可能ですが、かつてはテレビなど大手メディアに頼るしかありませんでした。もちろん、現在でも大手メディアからしか情報を仕入れられない人が多数います。そういう人たちは、国や電力会社にとって都合の良い情報しか得られないのですから、この国の真実に気付きません。もともと年間1ミリシーベルトだった基準値を子どもたちに20倍の20ミリシーベルトに引き上げて「安全」と宣言するような国です。チェルノブイリでは、5ミリシーベルトで強制移住の対象だったにも関わらず、です。

(つづく)

≪ (前) | (後) ≫

<プロフィール>
山本 太郎 (やまもと・たろう)
1974年11月24日、兵庫県宝塚市生まれ。
職業・俳優。1990年高校1年生時に『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の「ダンス甲子園」に出場し、芸能界入り。91年、映画『代打教師 秋葉、真剣です!』で俳優デビュー。その後、テレビドラマ『ふたりっ子』(96年)、『新選組!』(04年)。映画『バトルロワイアル』(2000年)、『GO』(01年)など数々のヒットドラマ、映画に出演。また、俳優の仕事以外に『世界ウルルン滞在記』などで、肉体を使った体当たりレポートでも人気を博す。『光の雨』、『GO』で01年度日本映画批評家大賞助演男優賞を、『MOONCHILD』、『ゲロッパ』、『精霊流し』で03年度ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。11年4月、脱原発活動を宣言し、活動家へ。


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