6月27日福岡市内で開催された九州電力(株)(瓜生道明社長)の株主総会にあわせて、「九電消費者株主の会」などが、会場となったホテルニューオータニ博多前や九電本店前で、原発廃炉を求めて宣伝やデモ行進した。小雨の降るなか、市民ら約100人が、「原発をやめ、日本・アジア、世界の希望の星になろう」と掲げた横断幕を先頭に、会場や本店周辺をデモ行進し、株主総会を"包囲"。「原発いらない」「命を守ろう」などと訴えた。その後、本店前で、参加者が次々に脱原発の思いをアピールした。
同会は、同日の株主総会に(1)原子力発電の終了(2)「(原発)廃炉を進める検討委員会の設置」(3)「発電・送電分離対策委員会」の設置(4)役員退職慰労金の支給停止――など8議案を提出。議案はいずれも否決された。同会の議案提案は、1994年から19年連続。
"株主総会包囲行動"に長崎市から参加した主婦大塚歩さん(45)は、去年の株主総会の日には「来年は廃炉して迎えよう」と思ったが、逆に再稼動の動きが進んでいることを懸念。「原発は絶対に動かしてはいけない」とよびかけた。福島第一原発事故とその後の政府の対応をみて、「善良な国民は、国は国民を守ると思っているが、国が守るのは国民ではなく、原発利権という一部のものだということがわかった」と話す。
福岡市の主婦は昨年5月、ツイッターで得られる情報と、マスメディアの情報の違いに驚き、「原発の情報が隠蔽されていると思った」と振り返る。「自分の身、子どもの身を守る」ために、原発廃炉を求め行動、この日のデモに参加した。
1歳2カ月の赤ちゃんを抱いて参加した清水亜矢さん(32)は、「原発はとにかく廃炉して、自然エネルギーに移行してほしい。九電が持っている地熱発電を広めてほしい」と語る。野田首相が「国民の生活を守る」ために再稼動を表明したことに対し、憤りを通り越して「悲しかった」という。「原発事故で生活がめちゃくちゃにされたのに、福島の現実をみて、生活を守るといえるのか。原発廃炉、それしか希望はない」。
株主総会後、九電本店前で、報告集会が開かれ、同会代表の木村京子さん(64)らが「(脱原発という考えが)私たちだけの考えではなく、一般株主、社会的に共通のものだとわかった」「市民の目は確実に脱原発に向いている」と述べた。
木村京子・「九電消費者株主の会」代表の話「私たちの会員ではない一般株主がガンガン発言していた。私たちの提案にも、積極的に賛同があった。今までは、30人程度がおずおずと賛成していたが、今年は賛成が70~200人あった。脱原発という考えが、私たちだけの考えではなく、一般株主、社会的に共通したものだとわかった。少数株主でも力を合わせれば、実現できる。総会で言いたいことを言って終わりではなく、地道にメッセージを発信していく」
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