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「おうかがい」で決められた? 福岡市・中国公務員研修受入(前)
行政
2012年8月 2日 15:00

<覚書締結3日前の公表>
 福岡市は今年(2012年)7月6日、中国公務員の海外研修を管轄する中国国家外国専家局と「人材交流及び協力の覚書」について、高島宗一郎福岡市長が北京に赴いて締結した。高島市長が公表したのは同月3日。

 同覚書は中国と福岡市が「都市景観、節水技術、ゴミ処理、環境保護、住みよい都市の建設・管理、高齢化社会への対応などの分野における人材交流および協力を促進すること」を主旨としている。この主旨に基づいて、中国公務員を受け入れ、約3週間程度の期間で視察・講義などの研修が行なわれる。受け入れる人数の目安としては、1回30~40人と仮定し、年間800人を目標としている。

 しかし、今年6月、在日中国大使館元書記官のスパイ疑惑が浮上していたことも影響し、想定外の技術・情報の流出に対する不安を抱いた市民から、同市に対して多数の抗議がなされた。研修は、複数の都市への視察が行なわれることにも言及しているため、「福岡市は中国スパイの窓口か?」といった批判が市外からもあがっている。

 最大の問題は、覚書締結の3日前まで公表はおろか、福岡市議会への報告もなかったことだ。国交にも関わる重要な案件が、覚書締結直前まで明らかにされておらず、まさに「寝耳に水」といった状況が、さらなる混乱を招いている。はたしてこの中国公務員の受け入れは、誰が、どのように進めてきたのか。なぜ、直前まで公表しなかったのか。NET-IBは、同市に対して覚書締結に至る経緯についての関連資料を情報公開請求した。

<そもそも「中国」ではなかった>
memo_s_1.jpg 情報公開された関連資料は、昨年(11年)11月21、22日の福岡市総務企画局国際部国際課長および係長の東京出張から始まる。資料によると、訪問先は、21日が(財)日本国際センター(JICE)、22日が外務省、(独)国際協力機構(JICA)。特筆すべきは、最初に訪れたJICEで、福岡市側が、「福岡市視察・研修ガイド」という資料を用いて説明を行ない、「海外から研修を受け入れる時に活用していただきたい」とアプローチしている点である。

 福岡市に対してJICEは、JICAから請け負っていた海外研修員受入事業が13年1月からJICA直営になると前置きした上で、「福岡市の視察・研修受入では、一番なじみやすいのは中国からの受入と思う」と回答。環境、高齢者介護、防災などの面で「ニーズがあるので、福岡市のメニューと合うのではないかと思う」と中国からの受入をすすめている。(関連資料「財団法人日本国際協力センター(JICE)訪問協議メモ」より)

 ちなみに、JICEは外務省所管の公益法人で1977年に設立。JICAから研修監理業務などを一括受託していた、いわば「下請け」である。JICEへの委託事業については、10年5月24日、内閣府行政刷新会議の「事業仕分け第2弾」でも取り沙汰された。

 派遣された職員らは、翌22日の訪問先(外務省およびJICA)でも福岡市の国際視察・研修に関する体制や特長についてプレゼンし、活用を呼びかけている。しかしながら、公開された資料を見る限り、この時、福岡市側からは「中国からの受入」について言及されていなかった。公開された資料によると、JICEがすすめたことが1つのきっかけになったと推察できるのである。

(つづく)
【市政取材班】

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