昨年の大震災以来、連続する不手際、積み重ねられるウソ、とられなかった対策など、国民を馬鹿にしたかのような電力会社と国の対応によって、電力に対する不信は決定的なものになってしまった。その証拠に、どれだけ電力が必要と言われても原発は大飯以外動いていない。九州も電力が不足し、今頃、停電で右往左往しているはずだったが、どうやらこれも誤りだったようだ。歴史的猛暑の夏も停電することなく(節電には気を配るようにはなったが)無事に経過している。お偉い方々の唱える呪文は、すでに効力を失いつつあるのではないか。
ただ、忘れてはならないことがある。それは、停まってはいても原発は今もある、ということだ。「原発は危険だ、いやだ」と言い続けても、今あるものをどうするのか。見て見ぬふりを続けるわけにもいかない。大震災から1年半が経過し、そろそろ決断せねばならない時期に差し掛かっているのである。
そこで政府は、国民に対して「エネルギー・環境に関する選択肢」を提示してきた。これは2030年を想定し、そのとき、日本はどんなエネルギーを使っているのか、それによって生活費はどうなっているのかを3つのシナリオを示してシミュレーションしたものだ。今、国家戦略室や資源エネルギー庁が全国行脚して国民に選択肢を示している。その際に意見を吸い上げ、今8月中に「革新的エネルギー・環境戦略」が決定される予定になっている。つまり、国家的エネルギー戦略の背骨がつくられることになるのである。これに対する考え方は2つだ。
ひとつは『チャンス』である。国民一人ひとりの意見がどの程度反映されるかはわからないが、歴史的な判断の機会に巡り合えているのだからだ。もうひとつは『危機』である。背骨がつくられたら、後の修正は困難になるからだ。将来、自分の子や孫、ひ孫たちにどんなエネルギー環境を残していけるか、今まさに決定されようとしているのだ。2度の原爆被爆と1度の原発過酷事故を経験した日本は原子力をどう考えるのか。それが決定されるのだ。時間はあまりないが国民一人ひとりが慎重に考えをまとめてほしいと思う。
その手助けとして本稿では、ベターではなくベストな選択肢をするためのひとつの考えを示していきたい。どのようなシナリオがいいのか、今が考えどきである。悔いのない選択がなされることを望む。
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