<求められる省エネと電力の地産地消>
では、ソフト・エネルギー・パスを上手に取り込むには、どうすべきなのか。
前述のロビンス著『ソフト・エネルギー・パス』の翻訳者である槌屋治紀氏が、出版の翌年に執筆した『エネルギー耕作型文明 エネルギー自立のシナリオ』に興味深い提案がされている。まず、(1)「エネルギー需要そのものを減少させること」(2)「環境破壊を最小限にとどめるエネルギー供給システムを選択すること」(3)「持続可能なエネルギー供給システムを構築すること」(4)「エネルギーの利用目的に適したエネルギー源を使うこと」(5)「小さな地域単位におけるエネルギーの自給を重視すること」(6)「エネルギーの生産に人々が参加できるようにすること」。これらは、同氏が今後のエネルギー政策に必要不可欠な条件と位置付けており、化石燃料や核燃料に頼る"エネルギー狩猟型文明"から、安定的で地域社会のなかで入手可能な再生可能エネルギーを農業のような方法で得る、"耕作型文明"への転換を求めるものである。3.11より30年以上も前に書かれたこの本に書かれていることが、現代の日本で求められている。
再生可能エネルギーは、火力や原子力などのハード・エネルギー・パスとは違い、エネルギーの大規模・集中利用には向かない。しかし、この事実はメガソーラーや大型風力発電を否定するものではない。そもそもメガソーラーといえども、その出力は1,000kWh~2,000kWhクラス。原子力発電とは比べ物にならない。「集中利用」の規模がそもそも違いすぎるのである。
先ほどの槌屋氏の提案で言えば、(1)の「エネルギー需要そのものを減少させること」は、とくに重要になる。仮に、エネルギーシフトが成功し、100%再生可能エネルギーで賄える社会がやってきたとしても、それは、先の九電の供給電力で言えば、1,400kWをこれまでと同じようにじゃんじゃん使えるようなものではないのだ。電力の地産地消と省エネルギーによる社会システムの再編成が、エネルギーシフト達成の鍵を握っている。
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