<環境問題と再生可能エネルギー>
電気には大きな弱点がある。それは、貯めることができないことだ。そのため発電所は、電力消費量が多いところに合わせるかたちで、建てられてきた。また、貯められないが故に、発電所は絶えず消費量に合わせて発電しなくてはならず、それにより原子力発電の比率も上がってきた。原発は、リスクが高いだけでなく、制御が難しいため、細かい出力の調整が行なわれず、常にフル稼働している。一方、火力発電は、電力需要にあわせて発電量を調整することができる。簡単に言えば、弱火にしたり強火にしたりすることができるというわけだ。こうして、調整が可能な火力発電の比率は下がっていき、調整が利かない原発の比率が上がっていく。すると、数字上では、この社会が原発に大きく依存しているかのようなデータが出てくるのだ。
少し話がそれたので元に戻そう。電気は貯めることができない。そのうえ、再生可能エネルギーは、火力や原子力とは違い、常に安定して発電できるわけではない。たとえば太陽光発電の場合、曇りや雨の場合は発電効率が著しく低下するし、当然のことながら夜間は一切発電ができなくなる。風の有無に左右される風力発電も同じく不安定と言える。そのため、再生可能エネルギーを利用する際には、発電だけではなく、「蓄電」も重要になる。バッテリーの寿命は、最新型のリチウムイオンバッテリーである東芝「SCiB」で6万回以上の充放電が可能(毎日使ったとして約16年)。一般的な起動用のバッテリー寿命(メーカー期待寿命)は、型名や使用状況によって変化はあるものの、概ね5~7年と言われている。再生可能エネルギーが普及すればするほど、こうしたバッテリーも増え、そして廃棄されていくことになる。このように、環境に優しいはずの再生可能エネルギーが抱える環境問題というものが、少なからず存在する。
しかし、希望がないわけではない。たとえばバッテリーに関して言えば、(株)ミウラ(広島市中区、三浦信夫社長)は、「バッテリー再生サービス」を行なっている。バッテリーは再生可能エネルギーのみならず、電気メーカーのデータセンターや通信・電話事業者の非常用電源、フォークリフトなどの乗り物など至るところで使われている。通常は、バッテリーの寿命が来ると、すべて破棄して新品に入れ替える。しかし、このバッテリー再生サービスを利用すれば、新品を購入するよりも割安なコストで、新品に近い性能に復活させることができる。当然、環境にも優しい。
取材に応じたミウラの担当者によると、「バッテリーは、どのような環境で使われてきたかによって劣化の度合いが違います。現在では、工場やデータセンターなど、一定の室温で使われてきたバッテリーを主に扱っていますが、技術が進めば、屋外など過酷な条件で使用されているバッテリーの再生も可能になるかもしれません」という。
再生可能エネルギーが、脱石油・脱原発ができる"救世主"であるという認識は、ほぼ間違いはないだろう。しかし、いまだ数多くの問題を抱えており、使い方によってはかえって環境に悪影響を与えかねない。再生可能エネルギーの普及だけではなく、環境に対する影響に対しても、向き合っていく必要がある。
3.11より前、原子力発電の簡単な仕組みや、そのリスクさえ理解していなかった人が数多くいた。また、自分が使用している電力がどこから来るのかさえ知らない人も多くいた。しかし、我々は過酷な3.11という経験をしてしまった。"再生可能エネルギー"という看板が付いているからといっても、すべてを歓迎し闇雲に受け入れるのは早計である。また、再生可能エネルギーでつくった電力だからといって、使い放題使うのでは、あまりにも進歩がない。これまで、電力会社に任せ切りで使い放題だった電力と、我々日本人がどう付き合っていくのかを、真剣に考えるときが来ている。
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