18日、福岡市は、反日デモが激化している中国の情勢をふまえ、来年4月をメドに予定していた中国公務員研修受け入れを見送る方針を固めた。ただし、今年7月6日に中国政府と締結した覚書は破棄されず、14年度以降については、状況により、事業を実施する可能性が残っている。
同事業をめぐり、高島宗一郎福岡市長が7月3日に公表してから8月までに、市民から日中の関係や技術流出などに関する870件の意見が寄せられたという。さらに、9月20日まで開かれている第4回福岡市議会(定例会)では、水城四郎市議(みらい福岡)と富永周行市議(無所属の会)が一般質問に立ち、同事業の内容などを問い質した。
混乱を招いた覚書締結3日前の公表についての富永市議の質問に、市側は「これまで行なってきた国際協力事業の延長線上。新事業ではない」とし、また、市議会の常任委員会に資料を提出していたと説明した。しかしながら、公表時、すでに尖閣諸島への日中両国の関心が高まっており、緊張状態にあった情勢を考慮せず、いたずらに市民のみならず国民全体の不安をあおったことは否めないだろう。
質問を受けて高島市長は、同事業について「慎重に検討していく」と答弁。同事業は、ひとつ間違えば日中間の関係悪化につながり、また、外交カードに利用される可能性も否定できない。そのリスクは徹底的に検討すべきだ。富永市議は「本年度は見送るとして、覚書の破棄には至っていない。引き続き、この事業の動向に注視し、しかるべき提言をしていく」とコメントしている。
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