<小規模な水力発電に注目>
「水」を小規模での発電にフルに活かそうと最大出力が1,000KW以下の「小水力発電」の導入を促進する動きも出てきている。農業用水路などを使って水車で発電。その地域で消費するマイクログリッドの有効な手段として、今後、小水力発電は見逃せないものになりそうだ。小水力発電にはローコスト、二酸化炭素を排出しないため環境に負荷をかけないというメリットがあり、既存のダム、農業用水路などを使えるのでエネルギーに応用しやすい。現在、利用されずに無駄になっている発電可能なエネルギーはまだまだ存在する。電力の開発にも関わってきた水環境開発の窪田社長は「うまくやれば、小規模の水力発電で採算の合うところはたくさんある。砂防ダム、農業用ダムなどで河川の水位を維持するためにバルブを入れて水を放流したりしているところがあるけど、バルブではなく発電機を入れればかなりの発電量になる。そういうところは、探せば日本のあちこちにある」と、小水力発電の可能性を口にする。
<推進に力入れる富山県>
発電の小規模分散型化が進めば、電力の地産地消が可能になり、より効率的なエネルギーの生産、消費が可能となってくる。推進に力を入れているのが富山県だ。豊富な水源と急流による水の落差が大きい地形を活かして、小水力発電の導入を進めている。もともと富山県では、黒部ダムなどを利用した水力発電の割合が高く、黒部川など豊富な水量と、急流河川が多いという地の利に恵まれている。窪田社長は「早月川の発電所では、土地改良区が計画、出資して、利益を出せるようになっている」と、地域資源をエネルギーに生かしている。
さらに、ゼンマイを発電に活用する「ゼンマイ式小水力発電装置」を富山県黒部市のゼンマイメーカー・東洋ゼンマイが実証実験を開始。実用化を目指している。東洋ゼンマイは、玩具に使われるゼンマイでは世界シェア約3割を持つ国内屈指のメーカー。日本が世界に誇る技術を応用した新たな小水力発電所として期待されている。
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