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経済事件簿

『脱税集団アースハート』の裏側を抉る(3)~宗教の影(後)
経済事件簿
2013年2月 7日 07:00

 「アースハート」の脱税容疑で逮捕された前田賢治容疑者と、宗教法人「ひのもと」(大分県九重町)の活動の跡が残されている愛知県T市。「宗教法人としてはえげつなく、胡散臭い団体という気がした」。T市内の元町内会長は、約2年数カ月前を振り返った。

 市議会の記録や当時の地元住民の話を総合すると、2010年9月、「ひのもと」内にある特別支援学校つくし学園設立準備室が同市内に特別支援学校を建設する協議をT市に申し入れた。前田容疑者が準備室長だった。建設を求める署名を集めた際の文書には、野中容疑者(当時アースハート代表)の署名があった。当時、住民は「ひのもと」の上部団体がアースハートだと受け止めたという。

 取材に対し、元町内会長はそのころの状況や「ひのもと」の異様さを語り、こう結んだ。「いくら偽善者の顔をしても、腹は違っていたんだな。私個人の考えは、宗教法人というのは公益法人、悪い人はいない。市内にあるほかの宗教団体とは共存してきた。しかし、『ひのもと』は手段が好ましくなかった」

 建設計画書なるものが計画地域の区長らの自宅に投げ込まれたが、住民の理解が得られるような説明はなく、住民は不安に駆られた。1万841人が「ひのもとによる十分な説明」を求める請願を市議会に提出する騒ぎに発展。2011年6月の市議会において、全会一致で請願が採択されている。

<"広告塔"の医師「時期尚早でお答えできない」>
 この結果、特別支援学校の建設は立ち消えになったが、アースハート被害は現在進行形で各地に広がっている。
 アースハートは、受講料70万円で12回の講義などを受ければマインドパワーを習得できると勧誘してきた。
 確かに、気功療法も統合療法の1つであり、「ヨーロッパでは、気功療法が保険適用になっている。日本は遅れている」との指摘もある。厚生労働省も統合医療のあり方の検討会を重ねている状況だ。

 しかし、アースハートのセミナーは気功療法をまじめに身に付ける手法とは異質である。福岡市内の心理カウンセラー(51)は、心の悩みを抱える人たちの相談に応じてきた経験から、こう指摘する。「セミナーの仕組み自体がおかしい。2回でできる人もいれば、20回やってもできない人が当然いる。どんな人でも70万円払って、12回受けたら気功ができるなんていうマニュアルにしている時点で、もうこれはウソだ」。

 マインドパワーを普及している医師らは、「西洋医学とマインドパワーを融合させた『統合医療』の実現」をうたって、マインドパワーがやがて医療の主流になるとまで主張している。アースハートの熱心な会員(あるいは"信者"というべきか)となっていた医師は、被害者の1人だったと言えなくもない。一方、医師らは、その肩書きを利用して患者にマインドパワーを信用させ、普及にひと役買ったばかりか、アースハートの「広告塔」の役割まで果たしており、その責任は重い。

 活発に普及してきた北九州市の医師は、取材に対し「時期尚早でお話しできない」と答えている。説明する責任があるのは当然で、沈黙は許されまい。医療関係者の動きは、統合医療の是非を超えて、医療そのものの信頼性にかかわる問題だからだ。
 病気が治ると信じてきた多くの会員が、脱税容疑での摘発報道を受けて、アースハートの実態に気付き始めている。病気を抱えた人間の弱みにつけこみ、巨利をむさぼった悪徳集団が許されることはないだろう。

【特別取材チーム】

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