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博多発・仮想化システムのパイオニア(前)~試行錯誤でつかんだ飛躍への足がかり
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2013年2月27日 07:00
(株)ピー・ビーシステムズ 代表取締役社長 冨田 和久 氏

 クラウド化が進むITの世界。コスト面や危機管理面での優位性とネットワークインフラの整備によって近年主流となりつつある方式であるが、実は福岡・博多には、この分野を17年も前から手がけてきたパイオニア企業がある。30代前半で起業し、成功と挫折を味わいながら確固たる地位を築き上げた(株)ピー・ビーシステムズの代表取締役社長である冨田和久氏に話を聞いた。
(聞き手:弊社代表・児玉 直)


<訴え続けた「仮想化」の必要性>
 ――世の中ではクラウド・コンピューティングが主流となりつつありますが、ようやく時代が冨田社長に追いついてきたと感じています。御社で言うところの「仮想化」について、まずはご説明ください。

 冨田 弊社は、一般企業向けの業務システム開発を中心としており、その特徴は児玉社長がおっしゃるように、創業当初から「仮想化」システムの構築を提案してきた点にあります。

 「仮想化」とは、システムをつくり上げているいろいろな部分を仮想化し、論理的に使うということです。たとえば、ユーザ企業側に存在するデータおよびプログラムをデータセンター内のプライベートクラウドに集約し、クラウド上に展開されたシトリックス「XenApp」と「XenDesktop」によって、各オフィスのシンクライアント上へアプリケーションとデスクトップを提供するようなケースです。

 ――思い切って簡略化した言い方をすれば、パソコンのなかのソフトウェアもデータもすべて外部のデータセンターに移し、これをネットワーク上で使うということでしょうか。パソコンのなかにはプログラムもデータも入っていないけれど、使う側は従来と同じ使い方ができる、と。そこで次に、「仮想化」するメリットの話になります。

tomita.jpg 冨田 リスク管理や経営効率の向上など、もたらされる効果は多岐にわたります。児玉社長が話された例でもわかるように、個々のパソコンや端末には顧客データは残りませんから、ユーザ企業はそこからの情報漏えいを防止できますし、逆に、各端末では経営環境に応じた使い勝手の良い新たなアプリケーションを即座に得ることもできます。端末に負荷のかかるソフトウェアはデータセンターに移管されていますので、各端末(シンクライアント)のポテンシャルを最大限に有効活用できることもメリットの1つです。
 仮想化やクラウドがもたらす迅速性・柔軟性は、経営環境の変化に対して企業の情報システムがタイムリーに、伸縮自在、変幻自在に対応できることを意味します。

 ――昨年末、弊社のニュースサイト「NET‐IB NEWS」がサーバー攻撃を受けたものですから、弊社もクラウドを導入しました。社内のシステムが地震や火災といったトラブルに晒されでもすれば、死活問題になりかねませんから。

 冨田 仮想化されたIT基盤のなかでは、万が一障害が発生しても、クラウド内で自動的な処理引継ぎが行なわれます。ですから、個々のシステム機器の障害によって業務が滞ることもなくなります。もちろん、このようなクラウド環境の導入には、さまざまな分野に通じた技術者チームが必要です。高いスキルを備えた技術者が、連携プレーのなかでフレキシブルなクラウドをつくり上げていくのが、我々のスタイルです。

<トラブルを契機に経営を考え直す>
 ――ここ数年で、「仮想化」に理解を示してくれる企業も増えたのではないですか。

 冨田 おっしゃる通り、企業だけでなく自治体も「仮想化」の採用に積極的になりましたね。
 実は、「仮想化が進むとハードが売れなくなる」ということで、以前はコンピューターの大手ハードメーカーが情報をブロックしていた時期がありました。顧客を囲い込んで、買換需要を促していたんですね。そこにインターネットが普及して、皆さんが「仮想化」の重要性を知ることができるようになったわけです。私たち自身は、インターネットが普及する前から「仮想化」を手がけて全国屈指の実績を残していますので、変わったつもりはないのですが、取り巻く環境が変わってきた感触は持っています。

 ――先日、武雄市の樋渡市長を取材し、まだまだ一部ではありますが、自治体の積極的なIT活用に驚かされました。

 冨田 実績は残してきましたので、企業や自治体の方が「仮想化」やクラウドを勉強しようとすると、最終的に弊社にたどり着いてくれるようです。自治体からの問い合わせも増えていますし、HPの閲覧者数も1日に6,000のアクセスをいただいています。

 ――話は変わりますが、大成功を収めた反面、ご苦労もされましたね。

 冨田 3年前のゴタゴタで、潰れるのではないか、私自身もこのポジションではいられないのではないかという状況に追い込まれました。おかげさまで大変な時期を乗り越えることができましたが、いろいろなことを改めるきっかけになりました。

 ――以前の経営を振り返り、今と比べてみてどうお考えですか。

 冨田 一言で言うと、以前は私も社員も「低レベル」だったと感じています。仕事には真剣に取り組んできましたし、売上も上がっていましたが、ビジネスモデルが確立しないままの漫然とした経営だったように思います。上場を目指して審査も2回ほど受けたのですが、内実は社内体制の不備や予算制度が甘く、突き抜けることができませんでした。

 今では、毎日が決算です。売上と利益を毎日はじき、その意識を社員にも徹底して浸透させるようにしています。技術者中心の会社ですから、どうしても技術や品質にばかり目が向きがちなのですが、「技術力だけではやっていけないんだよ」「バランスの取れた人材になっていこう」というのがコンセプトです。今期は売上高も10億円を超え、きちんと利益も出せそうですね。

(つづく)

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<COMPANY INFORMATION>
■(株)ピー・ビーシステムズ
代 表:冨田 和久
所在地:福岡市博多区東比恵3-3-24
設 立:1997年2月
資本金:1億3,343万円
売上高:(12/9)9億356万円
URL:https://www.pbsystems.co.jp/


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