あのグッドウィル・グループ（ＧＷＧ）に突如、筆頭株主が登場した。ジャスダック上場のユナイテッド・テクノロジー・ホールディングス（ＵＴ、本社：東京都港区）は3月21日、ＧＷＧの発行済み株式の30.4％を取得したと発表した。118億6500万円を投じ、筆頭株主となったのである。

　ＧＷＧでは3月11日、介護子会社コムスンや人材派遣子会社グットウィルの不祥事が相次いだ経営責任を取り、創業者の折口雅博会長（46）が辞任。ＧＷＧの主力取引行のみずほ銀行から債権譲渡を受けた米投資ファンドのサーベラスと米大手証券のモルガン・スタンレーの支援下で再建に踏み出したばかり。

　ＵＴがＧＷＧ株の買い占めを開始したのは2月1日から。2月末までに4.9％を保有。折口会長辞任、サーベラス側に経営権が移った直後の3月13日から19日までに約25％分を買い増し、筆頭株主に躍り出た。買収資金は、仏銀大手のＢＮＰバリバ向けの新株予約権発行などで約118億円を調達したという。

　ＵＴは世間的にはあまり知られていないが、どんな会社なのか。

24歳で起業　　　　　　　　　　　　

　ＵＴは2007年4月、半導体製造の業務請負会社・日本エイムと中古半導体装置の卸会社・エイぺックスの共同持ち株会社として発足。初年度の2008年3月期の連結売上高は480億円、経常利益40億円を見込んでいる。

　ＵＴの社長には、日本エイム創業者の若山陽一氏（37）が就いた。若山氏はＵＴの36.17％の株式を保有する筆頭株主。日本エイムがエイペックスを買収したのが実態だ。彼は新興ネット起業家と同じく若くして起業家になった。

　若山氏は1971年2月愛媛県松山市の生まれ。両親とも地元の銀行に勤めていた。将来は弁護士になるつもりで勉強に励んでいたが、人生観が変わったのは高校3年の時。交差点をバイクで進行中、信号無視の車にぶつけられた。バイクのハンドルが腹部を突き刺し、肝臓とすい臓を摘出。右足首は神経断裂と複雑骨折。4日間、意識不明の重態だった。

　3ヵ月後、体重が20キロ減って退院。勉強する気にはなれなかった。日本大学法学部に入学したが4日間で辞めてフリーターに。横浜の安アパートに住み、昼は高層ビルの窓ガラス清掃、夜はクラブのウェイター、コーヒーをホステスに売る屋台もやった。高校時代の先輩に誘われて、89年9月に人材派遣会社・テンポラリーセンター（現パソナ）に入社。横浜支店の営業マンとして5年間勤めた。

　テンポラリーセンターではトップセールスに。報奨金をもらい、東南アジアやアフリカへでかけた。現地では、5万円の日本円が50万円の使い勝手があった。すっかり、お金持ちの気分になったが、それは錯覚だとすぐに気づいた。モノづくりで世界の経済大国になった恩恵だ。やっぱり、製造業だ。日本の製造業を下支えするビジネスが成り立つ、と直感したという。

　そしてテンポラリーセンターを退社、91年9月、製造分野の業務請負最大手のクリスタルに転職。製造請負のノウハウを身につけた。95年4月、日本エイムの前身であるエイムシーアイシー有限会社を横浜市に設立して独立を果した。24歳の時だ。

つづく

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