《地域密着と女性の目線で、30代中心の若い世代の家づくりを支える》

　小倉北区のハゼモト建設は、北九州の注文住宅市場で毎年着実な施工実績を重ねている。大手ハウスメーカーも含めて住宅市場が低迷する中で、地域密着型工務店らしく地に足の着いた他社との差別化戦略が成功の秘訣らしい。

　女性の目線を大切にしているという同社営業管理課の田代潤子氏にハゼモト建設の戸建て部門の戦略を聞いた。

「当社は、公共事業や病院、学校など一般建設部門と一戸建て部門の２つの柱で、この北九州の地で約50年に渡って仕事をさせていただいています。

　大手の建設会社ではありませんが、公共事業では福岡県のAa評価をいただき、戸建て部門でも地域密着型に徹して毎年20戸前後の実績を挙げています。

　今年もお陰様で、現時点で20数戸の受注をいただいています。一戸建て住宅を建てようとするお客様は、それぞれ異なったご家族の状況やお考えをもっていらっしゃいますので、モノ売りではなく、お客様の将来の生活までいっしょに考えながら家づくりの提案をさせていただいています。
最初の仕事は、お客様からのヒヤリングを徹底することです。

　具体的なご希望の間取りよりも、まずご家族の構成、趣味、家の中でこれからされたいことなどをお聞きして、平面プランだけでなく、住宅としてどういう生活スタイルがこれから必要になるか、ベースプランの上にそのお客様に合った企画を、時間をかけて練っていきます。

　最近では、小倉在住の若い世代向けに「子育てママの暮しやすい家づくりプロジェクト」を実施し、地元の子育て中や子育て経験のある女性に集まっていただき、家事や子育てで戸建て住宅として大切なことや改善すべき問題点を徹底して聞き出しました。

　そのヒヤリングの成果を結集して開発されたのが『マミーズタウン片野新町』です。家事の最中にも小さな子供の様子に目が届くようにフルオープンの対面キッチンを採用したり、女性にとっても自分のスペースが欲しいという意見から『造り付けのダイニングカウンター』をキッチンの壁際に設けたりしています。

　こうしたアイデアは、やはり子育てを経験した女性の目線でなければ出てこないと思いますし、当社は他の建設会社と比べて女性社員の割合が多いのが特徴だと思います。また当社のお客様は30代を中心に若い世代が多いので、資金計画や土地探しから当社がいっしょにお手伝いいたしております。

　当社の社長自身がファイナンシャルプランナーとモーゲージプランナーの資格を持っていますので、お客様の資金状況をきちんと把握した上で、宅建の資格を持ったスタッフが土地探しをお手伝いします。現在の収入状況をお聞きして、もう少し先にお建てになった方がいいとアドバイスさせていただくこともあり、決して無理な資金計画はお勧めいたしません。『家つくりは、引き渡してからの長いお付き合い』が当社の信念ですので、大手のハウスメーカーのように宣伝をしなくとも、施工させていただいたお客様の地元での口コミから次のお客様が生れるケースがよくあります。

　地元で生まれ、地元で育った工務店ですので、お客様を裏切るような仕事はできません。
それらの実績が評価され、着実な受注に結びついていると思います。」
（ハゼモト建設のホームページ）

　地域の中小建設業が生き残る戦略は、やはりその地域に密着したマーケティングと、戸建て住宅の主役であり、決定権を握る女性をしっかりつかまえることだ、というシンプルな答かもしれない。

　またそのお客様である女性の要望や夢を掴んで、住宅プランに反映しているのも、子育て経験を持つ女性社員を十分に活用しているからだろう。

続く