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積水・大和特集

セキスイWATCHING(20)~さらなる飛躍を目指せ(2)
積水・大和特集
2010年3月15日 10:13

 積水ハウスが成功に成功を重ねてきたのは、積水ハウスの生命線である、田鍋氏が常に唱えていた「全社員運命共同体」「全員経営者」という一致団結の精神が、原動力になっていたおかげと言わねばならない。
 圧倒的な強さで、他社の追従を許さなかったのである。
 誰もが積水ハウスを熱く語り、誰もが燃えていた。しかも、市場のトップでいることに浮つくことなく、地道にお客さまのために最高のものを提供するという、企業理念「人間愛」の心を実践していた。

 しかし、和田社長の就任と同時に、それまで地道な努力の積み重ねで繁栄していたにも関らず、成功に次ぐ成功の美酒に酔うなかで、良き伝統が忘れられていたように思えてならない。心のなかにあぐらをかき、思い上がってしまったのではなかろうか。社員のあの情熱はどこに行ったのか。経営陣の心の緩みが、社員の力を削いでいってしまったことは否めない。

 徳川家康が「不自由を常と思えば不足なし」と言っている。
 出世してサラリーマン社長に上りつめ、豪勢な待遇を受けるうちに、いつの間にか、強欲、傲慢、不遜になるのは人間の業。増長し、倫理観もいつの間にか忘れてしまうものである。取り巻きは誰も注意することはないし、本人はまったく気付かない。

 トップは常に「クリーン、オネスト、ビューティフル」であり続けることに留意しなければならない。「クリーン」とは、一切隠しごとをしない透明な経営のこと。「オネスト」とは、嘘をつかない正直な経営のこと。「ビューティフル」とは、見苦しくない、美しい経営のこと。「清く、正しく、美しく」だ。
 また、高名な経営者が異口同音に言うことには、「経営のトップは、『仁』、『義』、『礼』、『智』、『信』をわきまえ、高い倫理観を持たねばならない」とある。

 積水ハウスの田鍋氏も倫理観の高い経営者だった。田鍋氏の経営哲学の集大成が、企業理念として残っている。
 その良き伝統を守り、再び、坂の上の雲めがけて、立ち上がることを期待したい。

(つづく)

【野口 孫子】

※この連載は積水ハウスに対してエールを送るものであり、誹謗中傷を目的とするものではありません。

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