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大半を墨塗り、結論だけの情報公開~福岡市・行政改革の実態(4)
行政
2011年1月14日 07:20

 一定の成果を出した「大規模事業の一斉点検」ですが、いくつか残念なこともあります。
 それは、事業点検プロジェクトチームのメンバーをすべて市職員で固めてしまったことです。なぜなら、市役所の内部だけの点検では、情報の公開性や透明性が十分でなく、内容の公正性を担保できないからです。穿(うが)って見れば、「事業点検の結論は前述の点検の視点によるものではなく、中止や縮小をしやすい事業だけ手を付けたのではないか?」という疑念も払拭できないからです。

 市民にしっかりと内容の公正性を伝えるには、やはり情報公開であり、メンバーも市役所の外部の人物を入れるというように"開かれた"あり方が不可欠であると思います。役人は内向きになりがちで、外部の人物をメンバーに加えたり、情報を外部へ公開したりすることを嫌う傾向があります。そのことが、行政改革を困難にしているひとつの要因になっているのです。
アイランドシティ しかし、行政改革を本気で目指すならば、自治体のトップは、しっかりとその覚悟と決意を示さなければなりません。改革を旗印に当選した吉田前市長も、こども病院の移転やアイランドシティ(人工島)事業の検証検討チームを、やはり市職員だけで固めてしまいました。役人サイドの強い抵抗があったことが想像できます。それほどに市役所を「開かれた」状態にすることは困難なことと言えるのです。

 また、点検過程の情報公開が十分でなかったことも残念なことのひとつです。

 「大規模事業の一斉点検」と「情報公開」に関連して、印象的な出来事がありました。それは平成13年だったと思いますが、私が市役所の情報公開室の係長職に就いていたときのことです。大規模事業の一斉点検において事業の採算性が認められて「継続」とされたアイランドシティ(人工島)事業について、その点検過程の情報を市民から情報公開請求がなされました。どのような点検を行なって、アイランドシティ(人工島)事業を「継続」したのか、その内容を知りたいと思うのは、とても自然なことであり、誰しもがそう感じることではないでしょうか。そして、市政の主権者である市民は、当然にそのような情報を知ることができなければなりません。それこそが「市民の知る権利」なんです。

 この情報公開請求に対して、市の担当局は残念なことに大半の情報を非公開として黒塗りにしてしまいました。そして、情報公開請求者はこの対応に納得せずに不服申立てを行ない、情報公開審査会にこの事案が諮問されました。情報公開審査会は、ほとんどの情報について「公開することが妥当である」と答申しました。
 この情報公開審査会の結論は至極妥当なものです。事業点検の過程を公開しないと言うことは、極論すれば「詳しい点検内容は教えないけど、結論だけは知らせるから信じてください」というようなもので、占いやご神託ならともかく、市長公約に掲げられた市政の重要事項に関しては、およそ理解できない対応であるということを、今振り返って冷静に考えてみれば、当時の関係者も理解できるのではないかと思います。

(つづく)

【寺島 浩幸】

≪ 第3回 「福岡初となる公共事業中断」 
 
第5回「公務員のDNA」 ≫

<プロフィール>
寺島 浩幸 (てらしま ひろゆき)寺島 浩幸 (てらしま ひろゆき)
福岡県立修猷館高校、福岡大学法学部法律学科を卒業。1987年に福岡市役所入庁後、総務局法制課、人事委員会任用課、情報公開室係長、市長室経営補佐係長、議会事務局法制
係長などを歴任し、2010年8月に退職。在職中は、主に法律関係の職務に従事するとともに、市長直属の特命業務や議員提案条例の支援を担当するなど、市長部局と議会事務局の双方の中枢業務を経験。
 現在は、行政書士事務所を開業して市民の身近な問題の解決をサポートするとともに、地域主権の要となる地方議会の機能強化を目指し、議員提案条例アドバイザーとしても活動中。

<主な実績>
・日本初の協定方式による第3セクターの情報公開制度の条例化
・日本初のPFI事業(タラソ福岡)の破綻再生
・日本初の「移動権(交通権)」の理念に立脚した議員提案条例の制定支援


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