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『聖域』ある改革の限界~福岡市・行政改革の実態(8)
行政
2011年1月20日 07:00

 「運動論」のレベルでは素晴らしい成果をあげたDNA運動が、市役所の大きな制度改革・システム改革にまで進化できなかった原因のふたつ目は、市長をはじめとするトップや改革推進部門の「決意と覚悟」が不十分であったことです。

福岡市役所 市役所内の「課」単位での業務改善運動だったDNA運動は、自らの「課」の業務に限らず、市役所のすべての業務についての改善運動である職員プロポーザル(提案)運動へと展開しましたが、「市議会に関すること」「職員組合交渉に関すること」などについては、プロポーザル運動の対象外にするなど「聖域」をつくってしまいました。また、人事評価制度とも連携できないままですから、このような状況は、真剣に改革に取り組む職員の気持ちを萎えさせました。
 私は小泉元首相の構造改革が、大きな制度改革を実現し、多くの国民の支持を勝ち得たのは、「聖域なき構造改革」というスローガンを掲げ、小泉元首相自身が政治生命をかけて改革を断行する旨を表明することにより、トップの強い「決意と覚悟」を見事に示すことができたからではないかと思っています。

 どのような「改革」でも、痛みを伴うものであり、抵抗する勢力は必ず存在します。そのような抵抗勢力を押さえ込むためには、十分な話し合いにより納得と譲歩を引き出すことも大切ですが、トップがしっかりとコミットメントし、その命を受けた改革推進部門が一歩も引かない「決意と覚悟」を示すことが不可欠ではないかと思います。
 そして、改革によるハレーションや痛みをできるだけ少なくするために、可能な限り短期間に一気呵成に実行することが必要ではないかと思っています。10年もかけて行なうのでは、改革疲れをもたらすだけでなく、そもそもパラダイムシフトを伴うことが難しくなるのではないかと思います。

 行政改革においては、「聖域」や「特権」などを、不合理な対応は厳に慎むべきです。むしろ、改革のプロセスを市民に徹底して情報公開していくことで、公正性を担保することができるだけでなく、改革を実行していくうえでの課題を市民と共有することができ、理解と共感を引き出すことができるものと考えています。

 徹底した情報公開は、成熟社会における行政運営の標準装備であるとともに、行政改革における有効な処方箋であると思います。財務省在職時代に当時三重県知事だった北川正恭氏の下で県政改革に尽力されたニュースゼロのメインキャスターである村尾信尚氏も、その著書「役所は変わる。もしあなたが望むなら」(淡交社)のなかで『情報公開は公務員の文化大革命である』とその重要性を指摘しています。

(つづく)
【寺島 浩幸】

≪ 第7回「成果主義へのアレルギー体質」 | 第9回「情報公開度日本一への挑戦」 ≫

<プロフィール>
寺島 浩幸 (てらしま ひろゆき)寺島 浩幸 (てらしま ひろゆき)
福岡県立修猷館高校、福岡大学法学部法律学科を卒業。1987年に福岡市役所入庁後、総務局法制課、人事委員会任用課、情報公開室係長、市長室経営補佐係長、議会事務局法制
係長などを歴任し、2010年8月に退職。在職中は、主に法律関係の職務に従事するとともに、市長直属の特命業務や議員提案条例の支援を担当するなど、市長部局と議会事務局の双方の中枢業務を経験。
 現在は、行政書士事務所を開業して市民の身近な問題の解決をサポートするとともに、地域主権の要となる地方議会の機能強化を目指し、議員提案条例アドバイザーとしても活動中。

<主な実績>
・日本初の協定方式による第3セクターの情報公開制度の条例化
・日本初のPFI事業(タラソ福岡)の破綻再生
・日本初の「移動権(交通権)」の理念に立脚した議員提案条例の制定支援

▼関連リンク
寺島氏ブログ
・ツイッターは、コチラ


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