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行政

『説明責任』の発祥地・イギリス~福岡市・行政改革の実態(21)
行政
2011年2月 8日 07:00

 国民主権に基づく議会制民主主義(代表民主制)にとって、不可欠な概念である「行政の説明責任(市民から厳粛な信託を受けた行政機関が、委託者である市民に対して、新たな政策や既存の政策の進捗状況などを常に明らかにしていく責任)」は、「情報公開」、「行政手続」、「公的オンブズマン」、「パブリック・コメント」などの制度の基礎にある考え方となっています。

 特に重要なポイントは、文字どおり、行政は市民に対して説明する「責任」を負っているということです。つまり、行政機関には、市民からの説明要求があった場合には、これに応答しなければならないという「応答義務」があります。
 神戸大学の山地秀俊教授の論文「情報公開論の諸相」(会計検査研究No26:2002.9)によれば、この「説明責任」という概念の淵源は、イギリスにあるようです。

イギリス イギリスは「近代会計制度の祖国」といわれていますが、中世イギリスにおいて、不在荘園主の代わりに荘園を管理する者として「スチュアード」という存在が生じ、このスチュアードは、荘園主に対して、一定期間の荘園に関わる諸事象の報告や、財産状態の報告を行なっていたとのことです。
 そして、このようなスチュアードの荘園主に対する関係をスチュアードシップといい、このスチュアードシップ概念は、近代になって、株式会社の株主を荘園主に喩え、経営者をスチュアードに喩えて、株式会社の会計制度に導入されました。そして、それが現代的な説明責任(アカウンタビリティ)概念として定着することになったそうです。

 今後、ますます重要になってくる「説明責任(アカウンタビリティ)」ですが、私は、大きく3つの分類が可能ではないかと思っています。
 ひとつ目は、「政策説明責任(ポリシー・アカウンタビリティ)」で、政策(施策)評価制度、政策決定過程の情報公開(パブリック・コメント制度、各種審議会の会議の公開や委員の公募)などは、この分類に当てはまると考えています。
 ふたつ目は、「財政説明責任(ファイナンシャル・アカウンタビリティ)」で、財政情報の公開、行政コストの公表、予算編成過程の情報公開などがこの分類に当てはまると考えています。
 みっつ目は、「業績説明責任(パフォーマンス・アカウンタビリティ)」で、公共事業評価制度、事務事業評価制度、事業仕分けなどがこの分類に当てはまると考えています。

(つづく)
【寺島 浩幸】

≪ 第20回「説明責任としての情報公開制度」 | 

<プロフィール>
寺島浩幸氏寺島 浩幸 (てらしま ひろゆき)
福岡県立修猷館高校、福岡大学法学部法律学科を卒業。1987年に福岡市役所入庁後、総務局法制課、人事委員会任用課、情報公開室係長、市長室経営補佐係長、議会事務局法制係長などを歴任し、2010年8月退職。在職中、主に法律関係の職務に従事するとともに、市長直属の特命業務や議員提案条例の支援を担当するなど、市長部局と議会事務局の双方の中枢業務を経験。
 現在は、行政書士事務所を開業して市民の身近な問題の解決をサポートするとともに、地域主権の要となる地方議会の機能強化を目指し、議員提案条例アドバイザーとしても活動中。

<主な実績>
・日本初の協定方式による第3セクターの情報公開制度の条例化
・日本初のPFI事業(タラソ福岡)の破綻再生
・日本初の「移動権(交通権)」の理念に立脚した議員提案条例の制定支援

▼関連リンク
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・ツイッターは、コチラ


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