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2011統一地方選挙

一県民の「義憤」が集めた9,334票~2011福岡県議選
2011統一地方選挙
2011年4月13日 14:20

<無投票に「待った」>
 62議席に96人が立候補し、各区で激戦となった福岡市議選。一方、福岡県議選は全体で13選挙区20人、福岡市では南区4人、西区3人が無投票当選となった。それ以外の区でも、中央区、博多区、早良区では、告示の1カ月前ぐらいまで無投票がささやかれていた。"県議会に対する県民の関心の低さ"がうかがえる内容であったと言えるのではないだろうか。そのようななか、早良区の一市民が無投票に「待った」をかけた。

 今回の福岡県議選の投票率は43.12%。前回の49.91%から6.79ポイント減。全体的に低調ムードであったと言える。ただし、投票率に関しては東日本大震災の影響は否定できないが、無投票には関係がない。通常、立候補予定者は、どんなに遅くとも3カ月前に準備を始める。同震災の発生は3月11日。すでに立候補者の顔ぶれが固まる時期はとうに過ぎている。

松永洋幸氏の選挙ポスター 「問題のある県議会で、現職議員が有権者の審判を受けないのはおかしい!」。今回、早良区で県議選に立候補した無所属の新人・松永洋幸氏(38)は、有権者のひとりとして「無投票」に異を唱えた。
 昨年(2010年)秋、福岡県議会で、政務調査費の不適切使用がクローズアップされた。昼食に会派で、うなぎや寿司の出前をとり、書名のない本屋のレシートを調べれば、官能小説、プラモデルのカタログであることが判明。また、議員自らが、提出する領収書の個人情報を黒塗りし、第三者のチェックが不可能に近いという実態など、さまざまな問題点が指摘された。

 そうして迎えた県議選で「無投票」となる展開に、松永氏は「誰も出ないなら、自分がやるしかない」と、告示まで1カ月を切ったタイミングで動き始めたのである。知名度がまったくないうえに圧倒的な時間不足。誰もが「落選するのは目に見えている」と口をそろえた。もちろん、そのことは松永氏とその協力者たちも自覚していた。しかし、フタを開けてみれば、9,334票を獲得するという戦績を残したのである。

<歩き通しで声をからした8.5日間>
 準備期間がまったくないなか、まさに徒手空拳で挑んだ選挙戦。告示日は午前中、選挙ポスターの掲示に追われ、実質的に活動できたのは8.5日間。その間、松永氏は、とにかく歩きまくって声をあげた。1日に行なった街頭演説は15~20回、各20分。選挙カーの拡声器は間に合わず、携帯するハンドマイクを使用。時には生声で訴えた。

 訴えの内容は、第一番に財政改革。「チェック機能がない現在の議会を、今変えないと福岡県の借金である県債の残高が雪だるま式に増え続け、最終的には子供たちの世代に大きな負債を引き継いでしまう」と訴え続けた。議員報酬の削減を訴える松永氏は、公費負担となる選挙費用についてもひとりの県民として問題提起をした。松永氏の公費負担となる選挙費は、選挙ポスター代の約21万円のみ。事務所のスタッフはすべてボランティア、選挙カーも友人から無料で借り、ガソリン代も自己負担にするという。もちろん、政党・政治団体の力も借りていない。

 松永氏の訴えに耳を傾ける聴衆は日を追うごとに増えていった。最終日は、早朝から夜にかけて、早良区内の50kmを歩いて政策を訴えた。頻繁に寄せられる早良区民の声援。「最後のほうは『有権者からの確かな手応え』を感じていました」(松永氏)という。8.5日間、ほとんど街頭活動だけで9,344票をあつめたことを考えると、支持の高まりが目に見えたのも納得できる。

 県民は県議会に無関心なのではなく、むしろ、相次ぐ不祥事に呆れ果て、あきらめてしまっているのではないか。「議会正常化」を訴え続けた松永氏が、短期間で1万近い票を集めたという事実を、今回当選した県議会議員はしっかりと受け止め、議会改革に真摯に取り組むべきではなかろうか。

【山下 康太】


▼関連リンク
・『無投票』への義憤、有権者の審判を!


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