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チャイナビジネス最前線

賢人たちが語る「中国の今」(2)~三枝国際特許事務所・松本弁理士
チャイナビジネス最前線
2011年8月 2日 16:07

 今回は7月19日に九州経済産業局の主催で開催された「中国環境ビジネスセミナー」の模様をレポートする。講演者は三枝国際特許事務所 弁理士 松本尚子氏。セミナーには、中国の環境分野に関心のあるビジネスパーソンなど約100人が参加した。

<模倣被害の状況>

中国の模倣品対策ついて質問に答える 弁理士 松本尚子氏 特許庁が4,000社あまりを対象に調査した「2010年模倣被害調査報告書」によれば、国外における模倣被害を受けた国・地域別の被害社率は全体の約66%が中国で発生したものだった。内容としてはその半数以上がデッドコピー、つまり製品そのものやデザインの全部をまねるものだ。模倣の手口も、「見た目はそっくりで、商標を付けずに販売」するものや、「中身と包装やロゴシールなどを別々の場所で製造し、販売時に合わせる」など巧妙になっている。こうして中国で製造された模倣品は世界各国に流通しており、EU諸国で流通している模倣品の85%が中国で製造されたものとなっている。

<模倣品対策(1)知的財産権>

 模倣品対策としては、まず「知的財産権の確保」が必要だろう。中国も日本の特許法と同様の「専利法」がある。

中国の専利法 この専利法には、日本の特許権に相当する「発明専利」や実用新案権に相当する「実用新型専利」、意匠権に相当する「外観設計専利」がある。特に、最近では「実用新型専利」を取得する例が増えている。この「実用新型専利」、登録には新規性、進歩性(創造性)、実用性を要件としているが、実体審査もなく、中国の場合、他国と比べて基準がゆるいようだ。中国に進出しようとする際、とりあえずこの「実用新型専利」を検討しておくことをお薦めする。申請から登録まで1年近くかかるので事前の準備が必要だ。

 日本のカタログを安易に中国企業に渡して、中国側で先に専利権を取られたという事例があるが、この場合も、一度登録されると取消しは難しい。これは、意匠権や商標についても同様に、「冒認出願」として問題になっている。日本企業の商品ブランド、商品デザイン、日本の地名などが、いつの間にか中国において第三者により先に出願・登録されてしまうという問題だが、一度登録されてしまうと取消しが難しい状況であるので、いち早く出願しておくことが重要だ。

<模倣品対策(2)情報管理と識別マーク>

 模倣品対策として次にあげられることは、「企業の情報管理のあり方」と「製品を模倣品と区別する工夫」が必要なことだ。新製品の情報公開には「秘密保持契約の締結」や「新製品の一部ブラックボックス化」など細心の注意が必要だ。また、製品には「製品管理ナンバーを税関に届ける」ことや「ホログラムシールなど正規品識別マークを使用する」など模倣品との区別をつける工夫も重要だろう。

<模倣品を発見したら>

 模倣品を発見した場合、(1)警告書の送付、(2)行政摘発、(3)税関における水際対策、(4)民事訴訟、(5)刑事告訴の方法があるが、いちばん速くて有効なのは(2)の行政ルートへの申立であろう。専門の調査機関へ依頼し、摘発対象の情報や証拠の資料を準備し、地区や省レベルの工商行政管理局へ申立を行なうことが有効だ。費用も3,000~4,000ドルと司法ルートに比べればはるかに安いようだ。

 中国など模倣品が数多く流通している国や地域で新製品を販売しようとする場合は、新聞や雑誌などを活用した広報(権利広告)活動などの普及・啓蒙活動も、模倣品に対する重要な抑止力になることも忘れてはならない。

【杉本 尚丈】

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