ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

特別取材

子会社への損害賠償訴訟で和解金の支払いへ~ビジネス・ワンホールディングス(株)
特別取材
2011年12月15日 15:05

 福証Q boardに上場するビジネス・ワンホールディングス(株)は、子会社に提起されていた訴訟でこのほど「営業活動の範囲を逸脱した不適切な行為」を認め、和解金を支払うこととなった。これまで「まったく理由のないもの」として争ってきたが、上場会社としての在り方を問われる組織運営が浮き彫りとなった。

<強い姿勢で訴訟に臨むも一転和解金支払いへ>
 訴訟が提起されたのは昨年(2010年)の6月。ビジネス・ワンホールディングス(株)の子会社であるマンション管理会社の(株)ビジネス・ワンファシリティーズ(旧・ネットワークサポート(株)、本社:福岡市中央区)と同社従業員2名に対し、同業のリアリティマネージメント(株)(旧・インベストサービス(株)、本社:福岡市中央区)より従業員の移籍をともなう顧客情報の漏えいにより取引先を奪取されたとして、1億6,897万円の損害賠償を求める訴訟を起こされた。発端となった事件は、2008年7月から8月にかけて起きたもの。この時期リアリティ社は、社内的な内紛にともない会社更生法の申請・取り下げといった混乱期にあった。

 リアリティ社の訴状をまとめると、「ビジネス社は、この混乱状態を好機ととらえ、08年7月頃にリアリティ社の管理部課長を利用しリアリティ社から取引先の管理組合を奪おうと画策。リアリティ社からビジネス社へ移籍の勧誘を行ない、その際、管理物件の情報とリアリティ社のマンション管理部の人員体制に関する情報(顧客情報)の提供を求めた。移籍を決めた管理部長は部門の同僚全員にも移籍を働きかけ、複数が移籍。また、移籍した社員とともにビジネス社が管理していた管理組合に契約切り替えを働きかけ5物件を奪取。顧客情報の不正取得や従業員の違法な引き抜きによる顧客奪取がなされたとして、リアリティ社は『10年間は管理契約を継続していたはず』としてその間の利益相当額を求めた」というもの。

 これに対してビジネス社は、昨年8月11日時点で自社ホームページ上に、リアリティ社の主張内容について「まったく理由のないものと判断し、請求金額を支払う義務がない」と自らの正当性を強く示し、争う姿勢を明確にした。訴状に対する反論は、請求額の10年分の利益についてデベロッパー系の管理会社であっても的確な業務を遂行できなければ契約の見直しを常に迫られると主張。また、リアリティ社の情報開示は混乱期にあった社員が退社する意向を示すなかで、当時のリアリティ社の社長が管理組合に迷惑がかからないようにするため、従業員の雇用と管理契約締結をビジネス社に求め、ビジネス社は雇用や管理契約締結が可能か審査する必要があって元社長の指示により情報開示がなされたもので、共謀したわけではないとしていた。また、契約が移った5物件中2物件はリアリティ社も承認していた、と主張していた。

 双方譲らぬ裁判は、今年11月時点で1年5カ月もの長期におよぶ事態に陥っていた。
1215_kokuti_s.jpg ところが11月10日、全面対決から一転し、ビジネス社が1,000万円の和解金を支払うこととで決着した。その内容をホームページ上に公表することも条件となっている。そこでビジネス社は「双方の担当職員間でリアリティマネージメントの機関決定なく、マンション管理委託契約に関する情報を取得した事実が認められるなど、通常の営業活動の範囲を逸脱した不適切な行為が認められる」としてホームページ上で自社の落ち度を認めている。当初は「請求金額を払う義務はないと確信する」という強い口調だっただけに、この間の変節ぶりは組織運営の手法が問われることになる。

 この件について同社側は、「提訴を受けた当時は人事を含めて(ビジネス社の)組織が変革期にあり、情報がはっきりしない部分があった。再発防止に向けて今後は正規のかたちで情報収集する」とコメントしている。たしかに07年以降、ビジネス社の組織形態は急速に変貌を遂げている。

<業容拡大過程で変貌した業態>
1215_hyou1.jpg 元々ビジネス社は、ソフトウェア企業として発足。業務用パッケージソフトウェアの開発を手がけることで大手企業を含め販路を開拓。01年1月にはグリーンシート市場に登録し、03年2月には福証Q Boardに第一号として上場を果たしている。

 しかし、その後業績が伸び悩むと不動産事業やマンション管理事業を積極的に乗り出していった。07年10月にマンション管理会社ホワイトアメニティ㈱を買収。08年1月にもネットワークサポート(株)を買収すると08年10月には両社を合併し、現在の(株)ビジネス・ワンファシリティーズに商号変更。さらに10年3月にもクロスコミュニティを子会社化。買収したクロス社社長をビジネス・ワンファシリティーズの兼任の社長に就け、一気に基幹事業の1つに仕上げた。

 このほかの事業では、(株)ビジネス・ワンファイナンスの設立(08年3月)や新(株)ビジネス・ワン設立とソフト部門の移管(08年7月)。ビジネス社自身の商号変更(08年7月)と持ち株会社への移行、不動産事業の㈱コスモライト(10年8月)の買収など、事業部門も増加させた。その結果、現在のグループの売上比率は不動産事業49%、マンション管理事業38%となっており、創業業種であるソフトウェア事業は、今や全体の4%に過ぎない。

 訴訟の発端となった従業員の移籍をともなう顧客情報の漏えいや取引先の奪取事件は、管理事業拡大過程の08年7月に起きている。M&Aなどの事業拡大で収益を確保してきた同社の「正規のかたちで情報収集する」という再発防止策が機能するのか、今後、上場企業としての存在意義が問われる。

<COMPANY INFORMATION>
 代 表:尾崎 朝樹
 所在地:福岡市中央区薬院3-16-27
 設 立:1987年8月
 資本金:4億3,603万円
 業 種:不動産・マンション管理ほか
 売上高:(11/3連結)21億3,520万円



*記事へのご意見はこちら


※記事へのご意見はこちら

特別取材一覧
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル