企業再生の見本になっている(株)さとうベネック(本社:大分県松原市、紫原利典社長)は、同社の筆頭株主であるネクスト・キャピタル・パートナーズ投資事業有限責任組合と第2位の株主であるPacific Chiyoda L.P.は、発行済株式の全株をダイセンビルディング(株)(本社:福岡市博多区、大川義廣社長)に譲渡することで合意し、先月31日に株式売買契約を締結したと発表した。周知の通り、さとうベネックに対しては、再生ファンドのネクスト・キャピタル・パートナーズ(株)(本社:東京都千代田区、立石寿雄社長)が株を掌握してきた。そして再生の指導に当たってきたのだが、さとうベネックの業績の回復が顕著になるに従って、M&Aの話が流れ始めた。
当初は「12億円なら売っていい」と、ある証券会社のM&A担当者が歩き回っていることが有名になった。一時は、「タマホームが買った」という話も、確定情報として独り歩きしたこともあった。取材の過程で、タマホーム側から「たしかに『12億円でどうか』という打診があった。検討していたら『15億円になった』と言ってきたので断った」とのコメントも得た。その後、「上場会社が買う」のどうのとか、「デベロッパーが欲しがっている」とか騒ぎまくられてきた。「さとうベネックがおかしい」というような信用情報が巷に氾濫することはうなずけるが、会社売り買い情報が注目されるのも珍しいことである。
そこで、ネクスト・キャピタル・パートナーズ本社へ面談に行った。最高幹部の1人は、「さとうベネックの業績からいっても、チャンスがあればもう一度再生ファンドを組んでもいいくらいです。ですが、再生ファンドを組んでいる以上は、我々としては売却して対価を得て、投資家に配当する義務があります。まず、売り値のスタートは15億円でしょう」と大見栄を切った。こちらとしても、「15億円も出して買う価値があるかいな」というのが本音であった。どちらにしても、今年4月までには売りたい腹づもりでいたのであろう。
なお、今回買収した側の大川義廣オーナーには、昨年11月に取材を行なっている。その際にさとうベネックを購入するメリットとして、「今後、ビル1棟売り事業を企画している。そうなると、どうしても身内にゼネコンが必要となる。さとうベネックは技術力には定評がある。そこは魅力がある」とのコメントを得ていた。
<COMPANY INFORMATION>
■ダイセンビルディング(株)
代 表:大川 義廣
所在地:福岡市博多区中洲3-6-5
東京支店:東京都中央区銀座8-15-6
銀座6丁目オフィス:東京都中央区銀座6-2-1
設 立:1985年
資本金: 4億9,995万円
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