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コダマの核心

激変木材業界の象徴【日進逝く】(4)
コダマの核心
2012年10月10日 11:06

<二代目の奮闘>
 2001年10月、創業者松永篤氏の長男・浩典氏が34歳の手前(1カ月前)で2代目社長に就任した。同氏は取引先であるナイス日榮(株)(現在・ナイス)で修業して満を持して日進に入社したのである。浩典氏はラクビーで活躍していた体育会系の律儀な青年であった。酒は飲めないながらも卒ない交流ができて周囲から好感を持たれた人柄であった。また2代目は評論家が多い中で常に陣頭指揮を取る行動家であった。

 先代が残してくれた輸入建材(フローリング)事業が同社の業績の好調さを支えてくれたことで2代目社長としては恵まれた門出であった。中央区小笹にモデルハウスを建てて住宅関連の相談コーナーを設置するなどの斬新な取り込みも積極果敢に挑んでいった。だが現実は甘くない。新たなビジネスへ結実するものは簡単には転がってこないのである。浩典社長もわかってはいた。「フローリング事業が元気なうちに次の事業の柱を立ち上げないといけない」という危機感を抱いていた。

mokuzai.jpg 輸入建材事業が同社の業績の牽引の役割を果たしたのは2006年3月期まであったと見られる。この期は38億円の売上に対して1,700万円の当期利益をだしているが、かつての業績の勢いは薄れ始めていた。この「悪い流れを変えよう」と内装工事の事業の育成に取り組んだ。浩典社長も自らFP(ファイナンシャルプランナー)資格を取り社員達にも様々な資格を取らせた。内装工事=クロス工事の蓄積がホテルの内装工事まで受注するところまで大きくなった。だが結果的にはこの工事事業への方向転換は失敗に終わった。収益面と回収トラブルなどの問題が生じたのだ。

 日進の歴史を紐解くと(1)木材直需市場ビジネスが第1期目のベンチャー事業、(2)輸入建材事業が第2期目のベンチャー事業と位置付けられて成功した。中小企業の持ち味である適応能力を同社が如何なく発揮してくれたことを証明した。しかし、世の中の変化はまさしく激変だ。次の第3のベンチャー事業の成功が求められていた。残念ながら日進は第3期目の方向転換には遅れを取った。これが今回の破綻の遠因になる。

<プレカット事業への乗り遅れが致命的>
 輸入建材を手掛けるところが増えた。「仕入先は中国の同じところ」という皮肉も生まれた。それは日進のフローリング事業の優位性を失ったことを意味する。少なくとも10年間はこの事業に支えられて同社は遊泳してきた。この期間に住宅の在来工法においては革命的激変が進んだ。使用材がプレカット材にチェンジしたのである。木材業者はどこもかしこもプレカット工場を建設していった。【過剰化?】と懸念されていたが、どうにか共存共栄は保たれている。≪もしも?≫は許されないが、輸入建材事業を立ち上げきれなかったら同社も「プレカット工場建設」に必死になっていただろう。プレカット材を仕入れする破目になってしまった。同社の従来のお客・工務店の社長が嘆いていた。「日進との取引高を増やしたいよ。だけどプレカット材は非常に高いから他で調達するしかなかった」。
 知らぬ間に同社は競争力を失っていたのだ。

(つづく)

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