指摘したリスク以外にも、たとえばヒューマンエラーなどもあり得るし、過去に実際あった。海外の話ではなくて、玄海原発で、である。パイプ内部に鉄製巻き尺を置き忘れた、いわゆる巻き尺事件である。人のやることだから、こういったことも起こり得る。素材的、構造的、人的なリスクが高い施設である。
内部に抱えるリスクだけでもこれだけあるのだ!すぐに止めなさい!と言いたいが、それでも原発は動いている。大きな問題も出さずに、だ。まったく恐れ入ることである。福島の事故も大災害が引き金になった。そこまで想定していなかったのならば大きな手落ちだが、それでも事故の引き金を引くにはそれだけのエネルギーが必要だったことも事実である。原発はすさまじく大きな危険をはらんでいる。しかし同時に強固な防御体制も敷かれている。ここからは各自で判断するしかない。選択肢は二つだ。
1:潜在的リスクを抱えているが、顕在化することは極めてまれだから利便性を享受すべし。
2:防御体制が敷かれているとはいえ、いったん何かがあると地域が壊滅的ダメージを受ける。ならば生命と財産を守るためになくすべし。
いずれを選ぶか、問われているのは今である。ただし、その答えを出すための材料は、リスクを考えるだけでは不十分である。リスク回避のための防衛策を見てみなくては客観的な判断は下せないだろう。次回以降、リスクを回避するための工夫を指摘していこうと思う。地域、ひいては国、世界の人々の生命を脅かす危険がありながら、ここまで普及してきた裏には、やはりそれなりの備えがある。プラスとマイナスを冷静に見て、判断材料としてほしいと思う。
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