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脱原発・新エネルギー

玄海原発を考える(15)~小さく焼き固める「燃料ペレット」
脱原発・新エネルギー
2012年2月23日 16:00

sora_7.jpg 臭いものにはふたをする。危ないものには封印をつける。その基本方針のもとでなされている安全のための装置は大きく5つある。ロシアの工芸品マトリョーシカ人形のように小さい部分から徐々に大きく入れ子式に壁を設けていくというやり方だ。ちなみに、これから紹介する安全装置は「これがあるから原発は安全」と政府、行政、電力会社が胸を張るものである。言うだけのことはあるが、それでも福島では放射能が漏れたことを忘れてはならない。同時に、壁が機能したから漏れが3%に満たない程度におさまったことも判断材料として記憶しておかねばならないだろう。

 5つの防壁は、(1)燃料ペレット、(2)燃料被覆管、(3)原子炉圧力容器、(4)原子炉格納容器、(5)原子炉建屋の5つである。ほかに非常用炉心冷却系などもあるが、漏れを防ぐという意味では大きくこの5つが、まさに壁となって放射能を封じ込めているのである。1から順番に放射線の濃い(炉心に近い)ほうから薄い(炉心から遠い)ほうを意味し、なるべく数字の小さい段階で漏れを防ぐことが重要だ。では、個別に見てみることにしよう。

<第一の壁:燃料ペレット>
 核燃料は原発で燃やされる前処理として、小さなセラミック状(小さな塊のことをペレットという)に焼き固められる。小指の先ほどの小さな円筒形の塊を縦に積み上げて棒状にして原発では燃やしている。このペレットが第一の壁として機能する。ウランが中性子を受けて核分裂した後、さまざまな核分裂生成物ができ、不安定なものからは放射線が発せされる。その生成物そのものをウランの焼き物の内に封じることで外への漏れ出しを防いでいるのだ。

 この第一の壁で大半(98%・出所「原子力発電がよくわかる本」榎本聰明著・オーム社)の核分裂生成物が閉じ込められている。これは酸化ウラン自体の性質を利用して網を張り、燃料ペレットの外に核分裂生成物が漏れ出さない仕組みであるから、信頼性が高いとされている。それでも数%程度の生成物が、まるで魚が網を逃れるように飛び出してしまうのだが、それは以後の防護壁でストップできる(ようになっている?)ため、第一の壁としては大変優秀である。素材自体を防護壁にするこのアイデアは実にすばらしい。融点も高く、2,700~2,800℃程度まで形をとどめておけるため、通常の運転や少しばかりの異常では溶けることもなく機能維持ができる。

 ただし、福島の場合は冷却系が機能しなくなったため、この融点を超えてしまい一部の燃料がメルトダウン、そしてメルトスルーという事態に陥った。これも事実である点は忘れてはならない。

(つづく)
【柳 茂嘉】

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