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脱原発・新エネルギー

玄海原発を考える(16)~薄くラッピング「燃料被覆管」
脱原発・新エネルギー
2012年2月28日 16:00

<第2の壁 燃料被覆管>
 燃料自体を防壁として利用する第一の壁。その次に防護を担当するのが、「燃料被覆管」だ。

sora_2.jpg 福島の事故以来、よく聞く言葉だが、要は飴を包む紙のようなものである。薄いジルコニウムの合金(ジルカロイ)の膜で燃料をコーティングして、漏れ出しを防いでいる。正常に機能していれば、この段階でほぼ放射線をストップできる。ただ、被覆管自体が熱の伝導を妨げてしまうことになっては元も子もない。そのため、漏れ出す危険と熱の伝導を天秤にかけて、できるだけ薄く覆うように設計されている。しかるに、万一の際に頼るには心もとないのも事実。

 実際、設計のうえでも事故の際の安全性確保の期待度は、他の壁に比べて低いようだ。ジルカロイは融点が1,855℃。ペレットよりも低いため、メルトダウンしてしまうような冷却異常が起きた場合には、当てにならない。燃料ペレットが溶けてしまう前にジルカロイが溶け落ちてしまい、むき出しの燃料から数%の核分裂生成物が冷却水に出て行ってしまうことになる。備えというよりも、どちらかというと通常運転のときの安全装置という意味が強いのだと思われる。イメージで言うなら障子紙や食べ物の皿に張るラップのようなものだろう。したがって、電力各社が言うように第2の壁という言い方は多少の誇張が含まれているように感じられる。

 とはいえ、冷却が正常に行なわれる限りにおいては、ペレットと被覆管でほとんどすべての核分裂生成物をストップできる。通常の状態であれば、弱いラッピングといえども十分にその機能を発揮して、放射線の悪影響から地域の方々や従業員の方々、地域の環境を守っている。

 第二の壁は通常状態では大活躍だが、万一の際には期待できない、このことだけは覚えておいた方がよさそうだ。

(つづく)
【柳 茂嘉】

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