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「メディアの敗北」を意味した原発報道~佐高信氏インタビュー(6)
脱原発・新エネルギー
2012年3月 9日 10:46

"原発のメディア報道"について、辛口評論家・佐高信氏にご意見をお伺いした。昨年(2011年)6月に出版された佐高氏の著書「原発文化人50人斬り」(毎日新聞社)は、今でも増刷に、増刷を重ねている。

 ――メディア後進国になってしまった日本は今後どうすべきでしょうか。

佐高信氏 佐高 私は、そのような形から入ること、ビジョンとか、提言は嫌いです。難しいことを考える必要はありません。メディアはメディアの基本に帰れば良いことです。それを私は、少数派や批判派の意見を代弁することであると考えています。

 製鉄会社は鉄という製品を売ります。同じように、メディアの売り物は"批判"です。今は批判がないので、売るものがありません。批判という製品のつくり方さえ忘れている可能性があります。いわば、開店休業状態です。

 今の記者は、入社時点で銀行に入るのと同じ感覚で、安定を求めて大新聞社に入社すると聞きます。メディアに身を置く人間として、しっくりこないものがあります。

 欧米では、訴訟を覚悟で政府中枢や大会社を批判することが多くあります。その為に新聞社で積立金をしているところさえあるという話を聞いたことがあります。"批判"という製品を、堂々と売っているのです。

 原発問題と離れても、「日本株式会社」の後進性に関するメディア報道のお粗末さは、国際社会で大きく信用を失いつつあります。最近では、オリンパスや大王製紙事件が該当します。オリンパスは三井住友銀行の画策で上場廃止にならず(できず)、新しいトップに同銀行の元幹部が座ることになりました。国際社会には驚きを与えています。

 さらに、「値上げは権利!」(東電)発言とか、日立や東芝などの原発メーカーがベトナムなどに原発を輸出するという"批判"なき報道も国際社会の感覚を無視した行為と思われています。とても、残念なことです。


 佐高氏のインタビューは、実にエキサイティングなものであった。同時に、同じメディアに身を置く人間として、考えさせられる部分が多くあった。昨年の3.11東日本大震災、福島原発事故からすでに1年が過ぎた。しかし、最近の新聞には、毎日のように、"福島原発"、"福島避難民"、"放射能"という文字が躍っている。

 佐高氏の著書「原発文化人50人斬り」のなかで、アントニオ猪木氏が、青森県知事選挙の際、突如、原発凍結派からもらっていた講演料150万円を返して、推進派の応援を講演料1億円で引き受けたことが書かれている。(佐藤久美子著「議員秘書 捨身の告白」講談社)この話に、強い違和感を覚えるのは、私だけであろうか。

 我々は、メディアにたずさわる人間の使命として、今後も、東電問題、九電問題、原発再稼働などを厳しく、"批判"を含めて、見守っていきたいと思う。

(つづく)
【取材:金木 亮憲 編集:清水 秀生】

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<プロフィール>
sataka_p.jpg佐高 信(さたか まこと)
1945年1月19日山形県生まれ。評論家・東北公益文化大学客員教授。
慶應義塾大学法学部を卒業後、高校教師や経済誌編集長を経て、評論家として活躍。近著に「電力と国家」。


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