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玄海原発を考える(19)どっしり2mのコンクリート・原子炉建屋
脱原発・新エネルギー
2012年3月15日 15:21

sora_4.jpg 多重防護、最後の砦としてひかえるのが原子炉建屋である。福島の水素爆発で吹き飛んだあれが原子炉建屋だ。映像を見ると、いとも簡単に壊れてしまったようにも思えるが、実は1m~2mの厚さの壁を持つ堅牢な建物なのである。平和な感じの色が塗られているが、最後の砦は力強いコンクリートの建物なのだ。放射線はアルファ線ならば紙一枚、ベータ線なら薄いアルミ板、透過力の強いガンマ線でも50cmのコンクリートを通過することができない。したがって1mから2mものコンクリートならば、放射線自体の漏えいを防ぐことができる。なんとも頼もしい存在である。

 しかし、原子炉では取り扱うものが普通の感覚では考えられないほどの熱量や圧力にさらされるため、ここまでやっていても万一の際には吹き飛んでしまうのである。福島の場合では冷却系の不動によって異常な高温の蒸気が発生しジルコニウム合金と反応して水分子が酸素と水素にわかれてしまい水素が生まれて爆発する、いわゆる水素爆発が起こったために吹き飛んでしまった。これは別に不思議なことではなく、冷却水がこれほど長時間にわたって供給されなければ当然の事象であったが、とにかく1mや2mの建屋は吹き飛んでしまったことに変わりない。加えて、メルトスルーを止めるだけの融点の高さも持ち合わせていない。したがって、今、福島の地下で、どういうことが起こっているのかは想像の枠を出ることはできないのである。

 ただし、これも平時の場合は非常に強固な防護壁となる。放射線は常にモニターされて管理されているし、万一の際でも原子炉を止め、冷やし、封じ込めることは可能なようにできている。けれども、壁の耐性以上の力を加えれば崩れ落ちてしまうことは間違いないのである。半世紀にわたる原子力発電所の運用経験は、あくまでも平時の場合の運用だったのだ。万一の万倍の非常時には対応できないということが露見された。これをどうとらえるか。何度も何度も繰り返すが、市民一人ひとりの判断が必要になろう。5重の防壁も、大きすぎる負荷がかかれば突破されてしまう。それはどうやら間違いないが、あれほどの大きな力がめったにかからないことも事実である。しかし、今も原子炉はある。早いうちに非常に難しい判断をしなくてはならない。

(つづく)
【柳 茂嘉】

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