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脱原発・新エネルギー

玄海原発を考える(18)~薄い肉厚の鋼鉄
脱原発・新エネルギー
2012年3月 5日 07:00

<第四の壁:原子炉格納容器>
 ぶ厚い壁の外側は多少薄めの鋼鉄で覆われている。原子炉格納容器と呼ばれるものだ。これが第四の壁となる。肉厚は3センチと圧力容器に比べて薄くされている。ただし、圧力容器全体をすっぽりと覆うために、とても大きな構造体となっている。
 そのため、厚さ3センチであっても、建設費用は高額になる。ぶ厚いほうが安心じゃないか!というご意見もあろうと思うし、それは当然だと思うが、そのためにはさらに莫大な投資を必要としてしまうのだ。

 安全と経済性を天秤にかけて、そのバランスをとった結果が3センチなのである。本来、3番目の壁までで放射性物質を封じ込めることができるはずなので、4番目の壁は予備の予備といった取扱いなのだろうか。それでも安全マージンが増えることは間違いない。ここで、ほぼすべての放射線をシャットアウトが完成する。
 ただし、やはり鋼鉄である。融点は燃える核燃料よりもずっと低い。圧力容器の中を通り抜けてきた猛者たちには太刀打ちすることはできない。福島で5重の壁をすべて突破されるということが現実に起こることは立証されてしまった。3センチは厚いのか薄いのか。これもまた各自の判断に任せるしかなかろう。
 冷却水がきちんと働いている限りにおいては、この壁で十分かもしれない。ただ、多くのパイプが接続されていたり、弁がとりつけられたりしているために、その部分まで安全かと言われるとはなはだ心もとない。
 先述のとおり、一本パイプが出るだけで、その部分の安全性は下がってしまう。平時は重大事故につながらなくても、小さな漏えいは起こり得るということも肝に銘じておかなくてはならないだろう。

(つづく)
【柳 茂嘉】

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