玄海原発で福島クラスの、もしくはそれ以上の事故が起こってしまったら、一体、被害はどれくらいにおよぶのだろうか。福島の場合、20キロ圏内が警戒区域(場所によって避難指示解除予定もある)に、風向きによって多くの放射性物質が飛散した飯舘村などが計画的避難区域とされた(平成24年4月11日現在)。これにならうと、福島規模の事故が起こった場合には、どうやら20キロ圏内は強制的に退去させられて、風向きによっては半径50キロの範囲で避難を余儀なくされる可能性があるということがわかる。
玄海原発から半径20キロというと玄海原発がある玄海町全域、唐津市では海沿いの虹の松原を越えて、はまさき駅くらいまで、糸島市は西部海沿いのししか駅付近、伊万里市は岸岳、大野岳のふもとまで、島では福島、鷹島、馬渡島、加唐島、小川島、加部島が含まれる。
避難を余儀なくされる住民数(数字は概数)は、玄海町が全域で6,700人、唐津市13万人のうち、範囲に含まれるのが唐津地区7万8,800人、北波多地区4,700人、肥前地区8,100人、馬渡地区400人、鎮西地区6,400人、呼子地区5,300人、浜玉地区の一部6,600人、唐津市合計11万300人、伊万里市では市民5万7,500人のうち、波多津地区2,500人、牧島地区1,500人、黒川地区3,000人、伊万里市合計7,000人となる。以上の範囲での合計人数は12万4,000人と予想される。これは玄海原発を中心として半径20kmの円を描いた場合の、対象となり得る地域をピックアップしたものだ。
したがって、この人数は過酷事故が発生した場合、数年の間は定住が困難な状況となる最小の人数と言える。これは放射性物質はたき火と煙のような様相を呈するからだ。たき火(原発)に近いところでは激しい熱(直接的な放射線)と煙(放射性物質)がもうもうとしているため、近づくことはできない。これが発生源から円を描いて退避させるのは、その害を減らすためである。それに加えて、たき火の煙は風に乗って運ばれる。
したがって、上記12万4,000人に加えて風の通り道になってしまった地域の方々の人数が上乗せされることになる。玄海原発は北側に海を持つ半島に立地しているため、南風が吹いているときに事故が起こった場合ならば避難者数はそこまで増加しないだろう。それ以外の風が吹いたときには、さらに何万人単位で増加してしまうことになり得る。福島第一原発事故では幅約15キロ、長さ約40キロの帯が計画的避難地域に指定された。飯舘村などがそのエリアに含まれる。これを玄海原発にあてはめて考えてみよう。
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