<大川市周辺の地域医療を守る>
「(高木病院があって)とても安心です。昔は病院に行くのも時間がかかったけんねー」。バス停にいたお年寄りはそう呟いた。
福岡県大川市の国道208号線沿いにそびえ立つ高木病院には、毎日、多くの人々が足を運んでいる。福岡県南部に位置する筑後地区は、久留米市に久留米大学病院、聖マリア病院、新古賀病院の巨大病院、炭鉱の町・大牟田市には大牟田市立病院があり、地域の医療を守っている。医療業界のなかでもこれだけ大病院、総合病院が密集している地域は珍しいと言われるほどだが、40~50年前は大川市の住民は、地域の診療所や内科で対応できない病気は久留米大学病院、または大牟田市民病院にまで行かなければならなかったという。
大川―久留米間、大川―大牟田間はともに25kmほど離れており、現在では車で約30分もあれば行ける。しかし、当時は今よりも道路事情は悪いため、今以上に時間がかかったことは容易に想像できる。昔は高木病院も一般病院に過ぎなかったが、時代とともに大きくなり、現在では救急指定を受け、近隣の久留米市三潴町、柳川市、佐賀県南部地域の人々にとって、なくてはならない病院となった。当時は、仮に大川で大事故が発生して重症患者が出た場合、病院までの移動距離があり、助かる命も助からなかったこともあっただろう。それゆえに、大事故にあっても高木病院があるから心強いという市民は多いようだった。
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