先日、地場防水工事業の雄として名高い安藤工事(株)の調査に派遣された。応対者は、地銀出身で総務部長を務める高羽宜毅氏だ。
同社における2011年9月期の完工高は23億7,755万円。以前は、公共工事や建築工事の割り合いが、それほど多くなかったが、急に数字を伸ばしている。公共工事は約1億円伸びていて、建築工事に至っては、前期よりも約2億5,000万円の伸びを記録している。これまでの防水工事主体というスタンスからシフトしようとしているのかを確かめるべく、取材に出向いた。
――建築工事が10年9月期から11年9月期は随分と増えています。受注に関して以前から変わったことはありますか。
高羽宜毅氏(以下、高羽) 単に市場の流れとして新築工事が減って、大規模改修工事が増えたため建築工事も付随して増えたものですよ。
――最近福岡では、新築マンションは売れているようですが。
高羽 理由はなぜでしょうね。わかりますか?
――着工件数が落ち込んだことによる供給不足からでしょうか。
高羽 ...それはなぜでしょうね?
(不意に質問を質問で切り返され、相手に知識不足を察知されてしまったようだ。その後、畳みかけるような攻撃にこちらは黙ってしまった。しかたなく、苦肉の策として、質問を変えた)
――公共工事も前期と比較して随分伸びていますね。
高羽 公共工事はたまたまですよ。
――たまたまですか?2億円近く増えていますがそれでもたまたまですか?
高羽 そりゃ、くじ引きですから。たまたましかないでしょう。
それにしても、地場トップクラスの防水専門工事業者である安藤工事が、相手を格下と見るや否や、見下すような対応を取るのはいかがなものか。これまで、福岡の防水工事業者といえば、「安藤工事ここにあり」と言われて来たが、器の小ささが垣間見え、今後の同社の行く末まで心配になってしまう。山本社長は会社の看板とも言える、外部への窓口を、このような対応をする同総務部長に任せておいて良いのだろうか。
これまでの畑と違い、駆け出し調査員として、建設業に関わって痛感したことがある。それは、建設業界が、非常に複雑な業界であり、自分の前提知識が不足しているということだ。だからこそ、今後はこの無知ゆえの歯がゆさをバネに知識を蓄積し、懐をえぐるような情報をもって、今回の件を見返せるよう努力をするしかない。
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