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大さんのシニア・リポート~第4回 高齢者を地域で支えるというけれど2(後)
社会
2012年9月19日 07:00

0919_siryo.jpg 4年前、所沢市で「トコロみまもりネット」がスタートした。これは、配達業や検針業務に携わる人たちが、顧客の郵便受けや新聞受け、ガス・水道のメーターの異常を察知。即、最寄りの地域包括支援センターなどに連絡。連絡を受けたセンターの職員が関係部署(警察・消防など)に連絡して現場に急行させる。これで翌年、4人の高齢市民を死の淵から救出した。今では全国各地でこの方法が採用され、実践されている。ちなみに「トコロみまもりネット」は、拙著『団地が死んでいく』(平凡社新書)が下敷きになっている。

 平成6年から順次建て替えられた都営戸山団地(東京都新宿区百人町)には、LSA(ライフ・サポート・アドバイザー)が常駐する。LSAの部屋に設置された装置が、独居高齢者の部屋の水道、トイレなどの水回りや電気・ガス使用時の異常(使用数値ゼロ)を察知したり、体調の急変時に対応する緊急通報用ボタンが押され、緊急コールのサインが出たとき、その部屋に急行して対応する。部屋のカギはLSAが持つ。ピンポイントで見守るという意味では、これ以上の即効性は考えられない。
 しかし、LSAは「即対応」という意味では非常に有効な手段だが、機器の設置費用と維持費用がかかりすぎる。集合住宅のすべてに設置することは不可能だ。行政でも、救急患者を救出するため、ペンダント型の「緊急通報装置」を配布(有料)。利用者を増やしている。民間の警備保障会社でも、ひとり暮らしの高齢者に特化した緊急通報装置が人気だ。
 
 埼玉県北本市では、シャープと共同開発した「見まもりテレビ」が威力を発揮している。テレビのスイッチやチャンネルを操作した(しない)という情報(24時間テレビがつけっぱなし。数日間テレビのスイッチが押されていないなど)が、離れた場所にあるパソコンに送信され、安否確認ができるというシステムだ。
 象印マホービンが電気ポットの使用・不使用で安否を確認するというサービスを提供している。それのテレビ版である。電気ポットと違い、テレビに市役所や自治会からの情報が提供される。簡単なリモコン操作で、自分の体調を相手に伝えることができるメリットもある。シャープの開発担当者は、「身寄りのないお年寄りを見守るコストは今後どんどん増えると予想される。皆さんの前向きな様子を見ていると、そのコストを減らす仕事が事業として成り立ちうると感じた」(「朝日新聞」12・7・6)と話す。

 所沢市に「MTネットサービス」という会社がある。「電話連絡網サービス」が主力商品の会社だが、私は高齢者を対象とした「安否確認サービス」に着目している。高齢者は頭そのものがアナログだから、安否確認時に際して、基本的に固定電話(携帯も可)を利用する。現在あるものを利用することで、利用金額もリーズナブルに押さえられる。驚きの諸費用やアナログ的対応の仕方については、次回に報告したい。

(つづく)
【大山 眞人】

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<プロフィール>
ooyamasi_p.jpg大山眞人(おおやま まひと)
1944年山形市生まれ。早大卒。出版社勤務ののち、ノンフィクション作家。主な著作に、『S病院老人病棟の仲間たち』『取締役宝くじ部長』(文藝春秋)『老いてこそ二人で生きたい』『夢のある「終の棲家」を作りたい』(大和書房)『退学者ゼロ高校 須郷昌徳の「これが教育たい!」』(河出書房新社)『克って勝つー田村亮子を育てた男』(自由現代社)『取締役総務部長 奈良坂龍平』(讀賣新聞社)『悪徳商法』(文春新書)『団地が死んでいく』(平凡社新書)『騙されたがる人たち』(近著・講談社)など。


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