<国民の幸福を約束しない政策>
――今、一番、国民に何を訴えたいことは何ですか。
川内 日本は、東日本大震災、福島原発事故のかなり前から、経済の衰退や停滞が続いてきていました。だから政権交代を国民が要求したのです。そして、この2つの大きな天災、人災を経て、よりその感が深まった状況に現在あります。
民主党は完全に国民の信頼を失い、自民党は右傾化し、なんだか実体はよくわからないがマスコミに持て囃される「維新」というところが出てきている政治状況があります。これは非常によくないと感じているのです。
ひとつひとつの政策の中味が、国民によくよく知らされることがなく、何となく財源がないと思い込まされてもいます。逆進性が非常に強い消費税の引き上げが強引に決められました。日本の歴史や伝統を無視したTPPが「自由貿易はいいことだ」と言う神話のもとに強引に押し進められようとしているのです。
「原発は危ない」ということは十分にわかったけれど、電力はないし、電気代が上がると困るのでとりあえず、原発は動かせ、現状維持だという暴言がまかり通ります。
そして、中国とも、韓国とも関係がよくないので米国頼りだと言います。アメリカ国内では、低空飛行訓練など絶対にあり得ない軍用機が「どうぞ、日本の国内では低空飛行訓練をして下さい」ということになってしまうのです。まったく、国益とか国民の幸せと180度違う方向に向いた政策がまかり通ります。本来日本があるべき姿、国民の心に寄り添ったものを実現していくことが、日本を再生させる、希望の国にしていくために必要であると私は考えています。
その観点から、私は野田政権がやろうとしている方向と180度違う政策を主張しています。「財源がない、財源がない」と言われていますが、「財源は有る」のです。
将来的には税制改革は必要です。しかし、所得の再分配、富の再分配を考えた場合、所得税、相続税、法人税の最高税率の引き上げをすることが先決だし、より有効であるのです。逆進性のある消費税の引き上げは最後の段階でなければなりません。
これは行政改革、政治改革をしっかり行なったうえで考えるべきことです。それでもまだ足りないのであれば、特別会計の埋蔵金を使えばよいのです。
消費税率アップは、最後の最後に国民にお願いすべきことなのです。まったく順番が違います。現状、メディアでは1,000兆円の借金がクローズアップされることが多いのですが、800兆円の資産があることは注目されていません。200兆円の純債務は欧米と比べても問題のないレベルです。資産のすべてがとり崩せるとは言いませんが、年間20兆円、30兆円はフローで十分にだすことが可能です。
それを使って予算を当面組めばよいと考えています。そうすれば、プライマリーバランスも回復できるのです。さらに、経済連携においては、日本はアジアに軸足を置く必要があります。日米関係を大事にしながらアジアの国々との連携を深め、強化し、そこに米国に加わってもらうことが必要です。TPPとはまったく逆の経済の連携が大切なのです。
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